第10話ハーレム初期メンバー集結

佐渡あやの先生は病院を辞めたと言った。

五島看護師長も病院を辞めたと言った。

さらに初対面の石垣麻季絵も退職したと言っている。三人とも僕のもとに来るために仕事を辞め、無職になってここにやってきたいうのだ。

明日の生活よりも僕を選んでくれたのは嬉しすぎるが、僕の手元には彼女らを支える資金は文字通りゼロだ。


「豊久さんと一日も離れたくないのよね」

あやの先生は言う。

「私も豊久さんのお世話をできないのなら、あの病院にいる意味を見いだせないの」

美熟女の五島看護師も言う。

「ほら、あんたもあいさつしなさいよ。あんたも豊久さんのためになりたくてここに来たんでしょう」

もじもじしている石垣麻季絵のプリプリとした大きめのお尻をあやの先生はペチンと叩く。

石垣麻季絵はひゃっと飛び上がり、巨乳も揺れる。

「あっあの私、種子島さんが美味しそうに食べてる姿が見れなくなるのは本当に寂しくて。私のつくる料理を種子島さんは本当に美味しそうに食べてくれて、私それが嬉しくて。料理人冥利につきるっていうか。私、ずっと種子島さんに私のつくる料理を食べて欲しくてここにきました」

ふーと大きく息を吐き、ペコリと頭を下げる。

確かに病院での料理は本当に美味しかった。

毎日の楽しみの一つだった。

彼女の料理のおかげで回復がはやくなったといっても過言ではないだろう。

石垣麻季絵の料理がまた食べられるとなるとこれ程うれしいことはない。


「ありがとう、これからよろしくお願いします」

僕は言い、石垣麻季絵の右手を握る。

きっと洗い仕事かなにかで手が荒れているのだろう、その手はがさがさしていた。でもそれは働いた人のきれいな手だ。

なにもしていない手よりもこんな手の方が好きだ。

あやの先生や五島看護師長の消毒液で傷んだ手が好きだ。


「きれいな手ですね。働く人のいい手をしてますね」

僕は石垣麻季絵の手を見て言う。

石垣麻季絵はその一重の瞳で僕をじっと見ている。美人というより愛嬌のあるかわいい顔をしている。

おっぱいもお尻も大きくて安産体型だ。

エッチな体をしていて料理上手なんて最高じゃないか。


僕がじっと見つめると石垣麻季絵はみるみる間に顔を赤らめてひゃ~と言い、僕にむかって倒れてくる。

えっこの人気絶してる。

僕は大柄でぽっちゃりボリューミーな体を抱きしめる。

おほっぽちゃぽちゃおっぱいは柔らかくていいぞ。

それに思わず後ろに回した手がデカ尻にピッタリフィットする。

「らっ♡らめっ♡♡そんなこと言われたらイッちゃう♡♡」

石垣麻季絵は僕の腕の中で気絶した。

これも魔女から与えられた特技スキルである魅了チャームの力なのか。我ながら恐ろしい。



しばらくして意識を取り戻した石垣麻季絵のもってきた朝ごはんを皆で食べることになった。

この廃墟同然の洋館にこの日の朝、集結したメンバーが僕のハーレムファミリーの初期メンバーになるのだ。このメンバーを中心に僕たちはこの世界をわたっていくのだ。

すなわち佐渡あやの、五島涼子、淡路みゆき、喜界白峰、石垣麻季絵の五人である。

彼女らとは当然血はつながっていないがそれよりも濃い絆で結ばれることになるだろう。

僕はそう確信する。


朝食はおにぎりにだし巻き玉子、タコさんウインナー、ひじきの煮物、ワカメと玉ねぎの味噌汁であった。

どれもこれも美味しいので皆でぱくぱくと平らげてしまった。

「美味しいよ、麻季絵さん」

僕は礼を言う。

いきなり下の名前でいうのはどうかと思ったが、あやの先生も前に喜んでくれたのでそう呼んでみた。


「う、うれ死ぬ♡♡」

また白目をむいて倒れそうになるのを涼子さんがささえる。


「お兄ちゃん、やるねえ」

うふっと白こと喜界白峰が言う。

「ところでなんだけどもう一ついやらしいことされてるよ。考えたやつきっと性格わるいよ」

そう言い、タブレットの画面を僕に見せる。

それは僕のためにつくられた銀行口座の預金残高の画面であった。

その画面にはなにもうつしだされていない。

すなわち僕の通帳には一円も入っていないということだ。

僕は今現在無一文ということだ。


たしか淡路みゆきの話では政府からの支度金が入金されているとのことであった。

これも僕のことが気に入らない五花族とやらのいやがらせだろうか。

「そ、そんな……」

推定Hカップのおっぱいを揺らしながらその画面を見る。

そこは何度見ても一円も入っていない。

「五花族のやつらがやりそうなことね。権力にしがみつく醜い人たちよ」

ため息混じりに涼子さんは言う。

どうやら彼女は五花族についてなにかしっているようだ。


「先立つものがないのは不安だね」

佐渡あやの先生は言う。

なんなら私の貯金をつかってもらってもいいわよとつけ足す。

ありがたい申し出だが、それに頼りきりというわけにはいかない。

何らかの収入元がいるな。

「SSR資格者の精子には多額の協力金が発生するはずだけど」

とあやの先生は言う。

人口減が加速しているこの世界でしかも男性がごく少数しかいないという世の中では精子はいわば貴重な資源なのだ。

人間が少なくなるということは人類文明の緩慢な死を意味している。


「それがね、すべての受け入れ施設から受付拒否のメールがきてるのよ」

白が小さい胸の前で腕を組み、あきれ顔で言う。

ここまでするかねと白は言う。


暗殺なんて乱暴な手段はとられていないが、兵糧攻めをする気はまんまんのようだ。たしかに白の言うとおり、こちらのほうが性格が悪い。


「この近くに人口管理局の施設があったわね。こうなったら直接乗り込んで精子を受け取らせてお金をふんだくるのよ」

涼子さんにはしてはかなり乱暴な提案だが、他に策はないように思える。

虎穴に入らずんば虎児を得ずというし、その施設とやらに乗り込んでみるか。


淡路みゆきの運転でその施設に向かうことになった。それには五島涼子、喜界白峰が同行する。

オンボロ屋敷から車で二時間ほどの所にその施設はあった。

この地域いったいの男性から集められた精子がここに集まり、妊娠可能な女性のもとに渡り、人口受精されるのだ。

その施設は堅固な刑務所を連想させる。

それもそのはずだ。

国家的に貴重な資源を保存管理する施設だ。

セキュリティはもっとも高くなくてはならない。


近くに車を停めて僕たちはその施設の門のまえに立つ。

すぐに守衛の警備員が駆けつけてくる。

重要施設にいきなりあらわれた不審人物だ。彼女らの警戒心はマックスだ。

二人組の警備員は警棒に手をあて、僕たちをにらんでいる。

「ここになんのようですか?すぐさま立ち去らなければ実力行使にでます」

落ちついた対応だ。

彼女らの実力はかなりのものと見受けられる。隙のない動作から格闘技の経験者と見受けられる。


「こんにちは。僕は種子島豊久といいます。精子提供の件でこちらに参りました。お願いがあります。こちらの責任者のかたにあわせていただけませんか」

できるだけ物腰やわらかにして言う。

ペコリと頭を下げ、満面の笑みを努力する。


「そ、そうなのね♡ご用件がおありなのね♡」

「かしこまりました♡私がこ案内します♡」

「案内するのは私よ♡」

「いいえ、この方を案内するのは私よ♡」

二人の警備員は眼をキラキラして僕を見て、二人は喧嘩している。

「ではお二人にお願いします」

僕は言い。交互に手を握る。

「「はい♡♡お任せください♡♡」」

二人同時に言い、彼女らは鉄門をIDカードを使い開けてくれる。

改めて魅了チャームのスキルの恐ろしさをおもいしった。

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