第8話チュートリアル終了

かわいいウインクをしたあの人化した白猫は次に指をパチンとならす。

空気が瞬時にかわる。

周囲の景色がうっすらと灰色がかったものに変化する。


「ここを少しの間、夢幻の空間にかえたよ。ジャック先生みたいに全部は変えられないし、そう長くはたもてないけど豊久さんとお話できるぐらいは大丈夫かな」

白猫こと喜界白峰は言う。


「どうして君がここにいるのだ?」

僕はきく。


「マスターに頼まれてさ。豊久さんをサポートして欲しいって。ほら見てよ、ここは時間が停止してるからAVみたいなことできるよ」

喜界白峰はもみもみととなりにいる淡路みゆきの巨乳を揉む。

「こいつはよくみのってるね。Hカップはあるんじゃないかな」

ゲヘヘと中年おやじみたいな下品な笑みを浮かべる。

進められたので、僕もそのおっぱいを揉む。

よく肉がつまったいいおっぱいだ。

左右から二人に胸を揉まれているのに淡路みゆきは微動だにしない。

やはりここは白峰のいう通り、停止した空間だということか。


「さて、あまり時間がないから本題に移るよ。まずはチュートリアル終了おめでとう」

パチパチと白峰は拍手する。

チュートリアルなんてまるでゲームじゃないか。


「そう、この世界は君の物語セカイだからね。これから先いろいろと面白いことが起こると思うよ。悠久の時を生きるマスターはその物語を楽しませてほしいっていってたよ」

白峰は言う。

どうやらこの世界に僕を送り込んだのは、僕の願いを叶えるのと同時にどこかで僕の行動をみていてるあの魔女はそれをストーリーとして楽しもうという魂胆なのだろう。

いいだろう、望む世界に送ってくれたんだ。あの魔女ジャックを存分に楽しませてやろう。


「それとログインボーナスの話はまだだったね。豊久さんには魅了チャームのスキルが付与されているんだ。もう何回か覚えはあると思うけどね」

白峰は言う。

魅了チャームのスキル。

いよいよもってゲームじみてきたな。

大学時代はいっぱしのゲーマーだったのでこれも面白い。


「魅了のスキル保持者は異性を虜にする能力を持っている。抵抗力の弱い人なら体臭を嗅いだだけでイッちゃうくらいにね」

クスクスと白峰は笑う。


何度かあやの先生が気絶したのはその力のせいか。男女比が1対10000の貞操逆転世界でその能力があればもうそれはチート能力といっても過言ではないのではないか。


「そう、あとその魅了には文字通り男性としての魅力を上げる力もある。自身の体の変化でわかっているんじゃないかな」

次に白峰は僕の胯間を凝視する。

なるほど、この巨砲はそのスキル能力の一環だというのか。

いろいろ納得いったぞ。

これは良いスキルをもらえたな。

あらためてあの魔女に感謝しないとな。


「それで、どうする? 一応きいとくけどこの物語ゲームを続けるよね?」

白峰はきく。


せっかくこんな面白そうな世界に来たのだ、まだまだほとんど楽しんでいないのにもとの世界になんて戻りたくはない。

あやの先生や五島看護師長とももっと親しくなりたいし、この淡路みゆきとも仲良くなりたい。それにまだ見ぬ美女や美少女がいるはずだ。この与えられた魅了のスキルでハーレムを築くのだって夢じゃないはずだ。

ラノベやアニメ、ゲームでよくある美少女たちにかこまれてウハウハムフフッな生活を送るんだ。

こんなところでやめる訳にはいかない。

「頼まれたって戻らないよ。せっかくこの世界に来たんだ、僕はこの世界を楽しみ尽くすよ」

それはある意味決意であり、目標であった。

よし、目標が一つできたぞ。

この世界でハーレム王になるんだ。

美女や美少女たちに囲まれて、イチャイチャラブラブな毎日を送るんだ。


「その答えをきけて良かったよ。これからはボクもせんえつながらそのお手伝いをするよ。おもしろおかしな物語セカイをつくりましょうね。あっ後ボクのことはしろって呼んでね。あっ時間切れだわ」

灰色がかった景色が瞬時にもとの色鮮やかな世界にもどる。


「ううんっ」

それは咳払いの声。

あれ、まだ右手に柔らかい感触。

ふにふに……。


「あっ、あの豊久さんに胸をさわられるぐらいいっこうにかまわないんですけど、いきなりはご容赦願いませんか」

頬を赤くして淡路みゆきは言う。

男性が貴重な世界で良かったよ。

もとの世界ならよくてほっぺたをビンタされていたか、警察に痴漢としてつきだされていたか。

でもこの世界ではおっぱいをもんだぐらいではなにもされない。

本当にこっちにきてよかった。

僕は名残惜しいがその手を離す。


「あの……もし気に入られたなら場所を変えていただけれはいくらでもおさわりいただいてけっこうですので、まずは挨拶を終わらさせてください」

淡路みゆきは顔を赤くして言う。

彼女は警視庁警備部に所属するいわゆるSPで今日から僕の専任になるとのことだった。

年齢は22歳でいわゆるキャリア組みだ。そして僕と同い年だ。


喜界白峰こと白猫の白は表向きは国防軍に所属する情報収集係り、いわゆるハッカーだという。

この二人が今この瞬間からSSR資格を持つ僕の専属ボディーガードとなった。


そして翌日、僕は約半月ほどお世話になった病院を退院することになった。


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