第6話SSR資格認定
午前中は病院の中庭をウォーキングし、リハビリ室で五島看護師長の指導で筋トレを行う。五島看護師長は励まし上手で筋トレがはかどる。
学生のときはスポーツなんて無縁だったけどこうやって体を動かし、汗を流すのは楽しい。
学校ではスポーツなんて運動神経のいい人だけが楽しめるものだったが本当はそうではない。スポーツをして体を動かすのは誰でも楽しんでいいものなんだ。
またシャワーで汗を流し、お昼ご飯を食べる。
今日のお昼はカレーとサラダだ。
カレーは僕の好物だ。
野菜がごろごろしていて、肉はほろりとほどけてスパイシーで美味しい。
病院のご飯なんて味気ないと思っていたけどここのはかなり美味しい。
五島看護師長の話では調理担当者はもとフランス料理のシェフをしていたという。
人口減で飲食業も大打撃をうけており、閉店廃業においこまれた名店は数しれずだという。
今度その料理担当の人にあいさつしにいこうかな。いつも美味しい料理ありがとうございますって。
しばらくするとセクシー女医の佐渡あやの先生が入室する。
「お体の調子はいかがかしら?」
またあの必要以上のスキンシップのような触診を行う。聴診器を胸やお腹、背中にあてる。
目や口の中を見る。
「体の調子はすごくいいですよ」
僕は言う。
「そうね、ほんの十日前まで寝たきりの植物状態だったとは思えない回復ぶりね。で、この後なんだけどね、精液検査を行いたいんだけどよろしいですか?」
あらためて佐渡あやの先生はきく。
男女比が1対10000になったこの社会で健康診断と精液検査は男性にかせられた義務だという。人口減はすなわち文明の崩壊を意味し、事実世界では放棄された市街もいくつかあるという。我が国でも人口は都会に集中し、地方は機械化された農場が残るのみとなっている。
佐渡あやの先生に日本の人口をきくと現在は7000万人をわりそうだということであった。それでも他の国や地域よりははるかにましなのだという。
「国力を維持するためには産めよ増やせよが国是になっているのよ」
と佐渡あやの先生は言った。
検査室は質素なつくりの部屋であった。
六畳ほどの個室でベッドと簡易的な事務机と椅子が置かれているだけだ。
僕はビーカーを渡され、そこに体液を入れて提出するように佐渡あやの先生に言われた。
彼女がビーカーを手渡し、退室する直前に僕は意をけっして声をかける。
「あっあの……」
「どうしたの、種子島さん?」
「あの……佐渡先生……お願いがあるんですけど……」
僕は佐渡あやの先生の眼鏡の奥の理知的な瞳をみつめる。
その瞳はすぐに潤んで頬が紅潮してくる。
「佐渡先生、もし良かったら手伝ってくれませんか?」
僕は手伝うの手の部分を強調して言う。
ここが僕が魔女に希望した世界ならうまくいくはずだ。この世界の女性は異性に飢えていて、たいがいのお願いはきいてくれるはずだ。
僕はかけにでてみた。
特にこの佐渡あやのというセクシーな女医先生は僕の体に異常な興味をもっている。
まったく確信はなかったが、僕は試しに言ってみた。
どうか軽蔑しないでくれ。
ガチャリと佐渡あやの先生は後ろ手でドアを閉めて、なんと鍵もしめてしまった。
「ハアッハアッ♡♡それマジですか? それってあやのしか得しないんですけど♡♡」
これは好感触だ。
佐渡あやの先生は興奮で目が充血してきている。しかも呼吸がかなり荒い。
彼女はごくりと生唾を飲み込む。
「ええっひとりでは寂しいので佐渡先生に手伝って欲しいです」
理由はめちゃくちゃだが、このさいどうでもいい。僕はまた手の部分のイントネーションを強く言う。
「種子島さん、じゃあお願いがあるんだけど?」
今度は佐渡あやの先生が言きく。
手伝ってくれるのならきけることはきこう。
「あやのって呼んでくれるかしら?」
佐渡あやの先生は言う。
「いいてですよ、あやの先生」
僕は言う。
僕が下の名前で呼ぶと彼女は四つんばいになり、倒れ込む。巨乳がボヨンとゆれる。
「かっ!!これほどのダメージをくらうなんて♡♡でも呼ばれて気持ちいい♡♡わかったわ、あやの手伝いでもなんでもしちゃう♡♡」
ハアッハアッとあえぎながらあやの先生は言った。
あやの先生のお手伝いもあって十分ほどで終わらせることができた。
ふうっ気持ち良かったよ、あやの先生。
500ミリリットルのビーカーになみなみ注がれた体液をもってあやの先生は別室に消えていった。
「これはまずいまずいわ♡♡もっとも濃い男の子のにおいがする。いい匂いすぎて気絶しかねないわ♡♡」
真っ赤な顔でそう言い残し、あやの先生は消えていく。
僕は迎えに来てくれた五島看護師長とともに元の病室にもどる。
心地よい疲れのなか、僕は昼寝を楽しむことにした。
惰眠をむさぼっていると書類を握りしめたあやの先生が入室してくる。
「すごいわ種子島さん。あなたはこの日本に五人しかいないSSR資格者に認定されたわ」
泡を飛ばしながらあやの先生は叫ぶように言った。
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