第4話 おっきくなってる!!

 ガスマスクの看護師二人が佐渡あやの先生たちを連れ去り、しばらく時間が過ぎた。

 重湯とはいえ、久しぶりに胃に食べ物がはいったので内臓が喜んでいる。

 少し眠くなってきたので、まぶたをとじる。

 眠りにつく前に壁の時計をみると13時であった。


 また目を覚ますと時計は14時を指していた。一時間ほど眠ったのか。

 心なしか頭と体がすっきりしている。

 ブラック企業で働いていたときは毎日が寝不足でそのためにミスも多かった。その度に上司にしかられ、メンタルを傷つけられた。ミスをさせたくなければ十分な休息と休憩が必要なのに。やはり、ブラック企業はこの世に存在してはいけないのだ。

 僕が前の世界に思いをはせていると下半身がもぞもぞしてきた。


 あれだ、尿意だ。

 おしっこしたい。

 人間としての当然の生理現象だ。


 僕はトイレにいくために起きあがろうとする。しかし、体にうまく力がはいらない。

 当たり前か。

 15年も眠っていたのだ。筋肉なんかほとんどなく、日常生活に支障ありまくりだ。

 どうにか上半身だけ起こすが、それで限界だ。

 僕の痩せ細った体に力はほとんどはいらない。


 ここはあきらめてナースコールを押そう。

 ナースコールを押すとピンポーンとチャイムの音がする。

 すぐに看護師さんがかけつけてきてくれた。

 天井には二台の監視カメラがあるから、かけつけ体制はばっちりなのだろう。

てっきりあのセクシー女医の佐渡あやの先生が来てくれるかと思ったが、実際に来たのは佐渡あやの先生を咳払いでたしなめていたベテラン風の看護師さんだった。


「おまたせしました、種子島さん。どうかされましたか?」

 ていねいな物腰で彼女はきく。

 ちらりと名札を見ると五島涼子とかかれていた。

 年は五十代ぐらいだろうか。髪はだいぶ白く、顔にはシワもあるがそれでも十分美人だと思われた。

 すらりと背が高く、ほっそりとしたスレンダー体型だ。

 いい年の取り方をしているなと思われた。

 どうやら彼女は看護師長をしているようだ。


「あ、あの……トイレにいきたいんですが……」

 僕は言う。

 女性のしかも年上の美人にこんなことを頼むのは恥ずかしすぎる。でも、もう漏れそうなのでせっぱつまっている。


「ああっ、おしっこしたいんですね。はい、どうぞ」

 五島看護師長が棚から取り出したのはいわゆる尿瓶であった。

 彼女はおもむろにそれを僕の股間にそえる。


 いやいや、ほぼ初対面に近い女性に自分のいちもつをみせるのはそれこそ恥ずかしいがすぎる。


「あ、あの……できればお手洗いにいきたいんですけど」

 僕は言う。


「あらっ、恥ずかしがらずにここにしてもいいんですけどね」

 五島看護師長は言う。

 彼女は形のいいあごに手をあてて少し考える。


 やばい、もう膀胱が悲鳴をあげている。

 やっぱり尿瓶におしっこしようか。

 でもそれは恥ずかしい。


「わかりました。リハビリもかねてトイレまでいきましょうか」

 五島看護師長は僕の体を抱きしめて、立ち上がらせてくれる。

 さすがはベテランだ。

 僕はすんなりと立ち上がることができた。

 それにこの人、いい匂いがする。

 どこか僕が中学生のころにこの世を去った母親を思いださせてくれた。

 母さんが生きていたらこれぐらいの年齢になっていたのかな。

 おっと感傷にひたっている暇はない。

 僕の体はおしっこをしたがって仕方ないようだ。


 僕は美人看護師の五島さんの肩をかりてトイレまでのわずかな道のりを歩く。

 久しぶりの運動に体は悲鳴をあげている。

 膀胱も悲鳴をあげている。

 それでも五島看護師長のサポートは完璧ですぐにトイレにたどり着いた。


 そのトイレには当然のように個室しかない。

 男女比が1対10000になったから男性用の小便器は需要がほぼなくなったのだろう。

 個室のドアの手前まで五島看護師長はつれてきてくれた。

 僕はふらつきながら個室に入る。

「なにかあったらいけないので鍵はしないでね」

 五島看護師長は言う。

 僕はわかりましたと答えて、個室にはいる。


 ようやくおしっこできるぞ。

 日常生活も15年も寝たきりだたったのでこんなこともたいへんだ。これはリハビリ頑張らないとな。


 ズボンを下ろし、パンツもずらす。

 僕はおしっこをするために自分のものを握る。

 そしてその手の感触に違和感を覚える。

 何かおかしい。

 いつもの感覚ではない。

 指が回りきらないぞ。

 こんなことってあるか。

 僕はその違和感の正体を発見した。

 僕の股間のものがとんでもなくご立派なものになっているのだ。

ためしに右手の上に左手をそえて握るがそれでも先端がはみ出している。目測では30センチメートルはあるぞ。

 前の世界のぼくのものとは比べ物にならないぐらいご立派なものだ。


「なんだこれは!!」

 僕は思わず叫ぶ。

 そりゃそうだろう。

 目が覚めたら自分のものがこんなに巨大になっているなんて。


「どうされましたか?」

 叫び声を聞きつけて狭い個室に五島看護師長が入ってくる。

 そこで僕のダムは決壊した。


 ジョロジョロジョロ!!


 決壊したものは止められない。

 僕はベテラン美人看護師に放尿を見られてしまった。 

 そして見られたことに快感も覚えてしまった。

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