第2話 魔女の返礼
ジャック・オー・ランタンと名乗る妖艶な魔女は語る。
僕が助けた白猫の白は彼女の使い魔で新月の夜に散歩を楽しんでいたところ車にひかれそうになり、どうにか怪我だけですんだがあの公園で倒れてしまったという。
「まったく新月の夜は魔力が低下するというのにそんな日に散歩にでかけるなんて」
ふーと魔女ジャックはため息をつく。
「ごめんなさい、ご主人様」
いつの間にか魔女ジャックのとなりにボブカットのかわいい少女が座っていた。
その少女の瞳を見て僕は彼女があの白猫だと理解した。
「まあ、いいわ。お優しい種子島さんがたすけてくれたんだからね」
魔女ジャックは言う。
「ありがとう、種子島さん」
ペコリと白猫の少女は頭を下げる。
「さて、本題だよ。種子島さん、アタシは君にお礼をしたいんだよ。何でもいい、一つだけ願いをかなえてあげよう」
ハスキーボイスで魔女ジャックは言う。
これは夢だろうか。
きっと夢だと思うがものすごいリアルだ。
彼女たちの存在感ははっきりと見てとれる。
「ここはね、夢幻の世界。夢と現実の狭間だよ」
白猫の少女は言う。
わかったようなわからない答えだ。
まあこの際、それはどうでもいい。
魔女ジャックは何でも願いをかなえてくれるといった。
さて、何がいいかな。
異世界でチート能力で無双しようか。
大金持ちになって遊んで暮らそうか。
超能力を与えてもらい現実世界でヒーローとして活躍しようか。
そうだ、いいことを思いついたぞ。最近読んだエロマンガの設定でこんなのがあったな。
貞操観念が逆転していてなおかつ男女比が1対10000になっているという設定。
女性1万人にたいして男性が一人の割合の世界。そこでは男性であるだけでモテまくるというのだ。
人類存続のために美少女や美女たちと毎日エッチな生活を送ることができる。
しかも働かなくても、男性であるだけで美女たちからちやほやされるのだ。まさに夢のような生活ではないか。
僕は笑われるのを覚悟で魔女ジャックに頼んでみた。
「いいよ、いいよ。そんな世界にいけるよ。世界の数は無限で夢幻だからね。君の願いをかなえてあげよう」
魔女ジャックはいっさい笑うことなく受け入れてくれた。
その深い胸の谷間からスキットルを取り出す。
「さあ、それをぐびりとやりな。次に目覚めたら君の思う世界にいってるからさ」
僕は魔女ジャックからスキットルを受けとるとその中身をためらいもなく一気に飲みほした。
喉が焼けるように熱くなり、意識がぼんやりする。
「おほっいい飲みっぷりだね」
あははっと魔女ジャックは楽しげだ。
「さあ存分に楽しんでくるんだよ」
ジャックの声を最後に僕は夢の中で意識を失った。
「先生!!先生!!佐渡先生!!種子島さんが意識を取り戻しました!!」
悲鳴に近い女性の声だ。
僕はぱちくりとまぶたをあけるとそこには黒髪の美女が僕を潤んだ瞳で見ている。
彼女は白衣を着ていた。
銀縁眼鏡の奥の瞳が知性的で魅力的だ。
それにびっくりするぐらいおっぱいが大きい。ブイネックのシャツからたわわな実りが見てとれる。
「種子島さん、落ち着いて聞いてください。あなたは十五年前に事故にあい、ずっと眠っていたのです。良かった、目覚めてくれて本当に良かった」
看護師たちから佐渡先生と呼ばれた女医さんは僕に言った。
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