目覚めたら貞操逆転男女比1対10000の世界だった。

白鷺雨月

第1話 助けたのは白猫

 Fランク大学を出た僕はどうにか就職することができたが、そこは案の定ブラック企業だった。

 パワハラ、セクハラ、モラハラ、サービ残業当たり前。

 わが社には労働基準法が適用されないというのが上司の口癖だ。


 今日も今日とて始発で会社に行き、終電で帰る日々。辞めたくてしかないが辞めてもいく先はない。貯金もほとんどない。あるのは奨学金という名の借金だけ。

 たぶんだけど人生詰んでる。

 死にたいけど自殺する勇気もない。


 僕は24時間営業のスーパーで割り引きのシールがついた唐揚げ弁当を買う。

 本当は自炊したほうが経済的なんだけど料理をする時間もない。

 帰って晩御飯を食べて、シャワーを浴びて、寝て、また会社にいくだけの生活。明日はやっと久しぶりの休日だ。もちろん連休やましてや有休なんてのはない。


 そして当然ながら彼女なんていない。

 彼女もいないし当たり前に童貞だ。


 レジに行くと金髪の店員が手際よく作業している。かなりの巨乳で身につけているエプロンがおっぱいの肉圧でぱつぱつだ。推定だがHカップはあるだろう。

 目元はチークで赤い。

 あれだ、地雷メイクというやつだ。

 けっこうタイプだな。かわいいな。

 こんな娘が彼女だったらな。

 これは完全に妄想だが。


「割りばしいりますか?」

 感情のこもっていない声で金髪店員はきく。


「あっ、はい……」

 と僕は答える。

 エプロンについている名札を見ると淡路みゆきとあった。



 唐揚げ弁当を買った僕は近道の公園を横断する。僕の住むアパートは目の前だ。

 今日はやたら暗いなと思ったら、新月だった。

 公園にある背の高いライトはついたり消えたりしている。


 その公園のベンチ付近を足を引きずった白い猫が歩いている。

 のそりのそりと歩き、ついにパタリと倒れた。見捨てようかなと思ったけど、そこまで非情になれなかった僕はその白猫を家に連れて帰った。


 白猫はぐったりとしているが、息はしている。明日は久しぶりの休日だし、病院につれていってあげよう。



 翌日、その白猫を病院に連れていった。

 かなり弱っていたが、命に別状はなく、しばらく安静にしていれば良くなるだろうとのことだった。

 動物病院の先生はめちゃくちゃセクシーだった。とくに左目の下のほくろが印象的だ。

 会計の窓口の女性もちょっと年齢はいってるけど美人だったな。ちょうど僕の母親が生きていたらそのひとぐらいの年齢だろう。美人度はけた違いだけどね。この人、女優さんみたいに美人だったな。

 社畜の僕にとって動物病院はなかりの出費だったけど、助かって良かった。

 またあのスーパーに行き、キャットフードを買う。自分ひとりでも精一杯なのに僕はなにをしているんだ。でも、だからといってこの白猫を見捨てることはできない。僕はその白猫を白と名付けた。白猫だから白、そのままだ。


 レジに行くとまたあの金髪巨乳の店員さんだった。本当に胸が大きいな。一度でいいからさわらしてもらえないかな。

 僕が巨乳に見とれていると慣れた手つきで作業をすませ、その店員は二番のセルフレジで会計お願いしますと言った。

 キャットフードを買ったあと、お弁当屋さんに立ち寄る。ここのお弁当屋さんで働いている女性もかなりかわいい人なんだよな。むっちり体型で胸とおしりがかなりエロい。胸はメロンお尻は桃といったところかな。彼女に会うのが僕の休みの日の数少ない楽しみなのだ。


 自宅に戻り、缶詰めのキャットフードをあげると白猫は美味しそうにペロリと平らげて、お腹いっぱいになったのだろう、寝てしまった。


 休日はあっという間に過ぎて、また始発で会社にいかなければいけない。

 はー嫌だ嫌だ。

 働かなくてもいい世界にいけないかな。


 僕が白猫の白と一緒に寝ていると夢を見た。

 そこは昔ながらの純喫茶で四人がけのテーブル席に僕はいた。

 目の前に黒いドレスを着た、三角帽子をかぶったグラマーな女性がすわっていた。まるで童話に出てくる魔女のような衣装だ。ただ老女ではなくセクシーでグラマーな魔女だった。大人向けのゲームにでてくるエッチな魔女みたいだな。

「やあ、種子島豊久さん。アタシの使い魔を助けてくれてありがとうね」

 その魔女のような女性は紅茶にドバドバとブランデーをいれて、それをゴクリゴクリと飲んだ。

「アタシはジャック・オー・ランタン。見ての通り魔女さ。君ににお礼をしたくて この夢の世界にやって来たのさ」

 ハスキーボイスで彼女は言った。

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