5.悪神

 私が悪魔と契約し、そして悪魔になったことを、祭魚ちゃんはどう思うだろう。喜んでくれそうな気もするし、そうでない気もする。

 ――より正確に言うと、私は悪魔と契約したが、悪魔に一度この身を奪われた。

 しかし――

 しかし私はその全てを取り返し、あまつさえその悪魔の力を奪い取ったのだ。

 なぜなら私は、強い信仰によりされていたからだ。


 そして私は悪神となった。

 しかし存在としては悪神の私だったが、何かが変わったわけではなかった。

 信仰がますにつれて、この身に宿る強大な力が増してくるは分かる。

 しかし神としての私にその信仰が求めるのは「生き延びたい」という救済だけであった。

 この力を振るうには少なくとも、より強いが必要だ。

 誰かがその身を捧げ、私に血肉をあたえるような、強い契約。


 私の血は悪魔の血だ。

 この血は聖なるものも、私より格下の邪悪なるものも遠ざけた。


 ――ああ、祭魚ちゃんに会いたい。

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