ナイス・バディ

部屋に入室してきたのは小柄な少女だった。


「失礼します~」


小柄な見た目だが体躯ははっきりとしており、嫌が応にも胸元に目が行ってしまう。

顔つきは幼く、白い肌は透き通るようであった。見た目の年齢としては16歳程に見える。

ボブの髪型がよく似合うその少女は、ツカツカとこちらに近づいてきた。


「君がアンちゃんの弟か~」

少女はべたべたと触りながら話しかけた。思わず固まってしまう。


「確かにアンちゃんに似てるね~。若いころは弟くんみたいだったんだろうな~」

ぎくりとする。まさに若い頃のアンノが自分自身だからだ。


「紹介が遅れたね~。私はヒョーカ、公安4課の理事官です、よろしく~」

ヒョーカと名乗る少女は飄々と話し続ける。


「キョーコさん、この子の名前は~?」

またも固まってしまった。弟としての名前なんて聞いてないぞ?


「彼もアンノを名乗ってもらう。兄のコードネームを受け継いでもらうこととした」


「なるほどね~。でもアンちゃんか二人だと分かりづらいな~……弟くんでいい?」


ヒョーカはニッコリとわらってこちらに尋ねる。

微笑む姿はまさに氷の花のようであった。


「な……なんでも大丈夫です……」


「緊張してるの~?かわいいねぇ~」


美少女にかわいいと言われた!うれしいような恥ずかしいような……


「じゃあとりあえずは弟くんでいいかな~。よろしくね、弟くん~」


「よろしくお願いします……」


ヒョーカはかなりマイペースなようだ。あまりにもスパイに向いていなさそうだが、むしろ向いていなく見える方がスパイとして適性があるのかもしれない。


「紹介が済んだところで、早速調査に出かけてもらう。アンノは兄からすでに報告をもらっているな?」


記憶が戻ったと伝えていたが、ここでは兄からの情報と言うことにするようだ。


「そうですね。新魔研の違法性と拠点調査が目下のタスクと認識しています」

自分なりの考えを述べる。


「そうだね~。なかなかしっぽがつかめずに困っているんだよ~。一番情報をつかんでいたアンちゃんもいなくなっちゃたしね~」


そうか……ヒョーカさんは俺がいなくなったときにもバディとして組んでいたんだものな……


「まあぐだぐだいっても仕方ないし、調査に出かけるとしようか~。早速だけど弟くんには……」


ヒョーカはにやりとこちらを見つめる。


「キャバクラに遊びに行ってもらうよ~」


は?キャバクラだって?

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