第8話

 残された遺伝子の塊は望まれて生まれてくれば、まるで天使が舞い降りてきたかのような歓待を親族から受ける。望まれず生まれてしまうと・・・。


 意図せず子を成した時、抱えきれない苦しさを持つのは大人ばかりではないだろう。


 望まれることなくこの世に産み落とされた子供だって、生まれた瞬間から他の子が持たなくてもいい不幸を背負わされているのだ。自分は何の悪事も働いていないのに、親である男女の業を生まれながらにして纏っている。これほどの苦しみと理不尽があるだろうか。


 空亜は何もわかっていないようで何かに感づいているような素振りを時々見せる。


 飲み物をこぼしたときや風呂に入ることを嫌がっている時などに私が激怒すると、空亜は怯えながらも不思議そうな顔をする。本来愛されることが当たり前な存在である自分がなぜそんな態度を取られるのかと、そんな顔をするのだ。


 


 

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