第7話
空亜を見ていると、この世に対する執着を感じる。
それは子供の持つ生命力のことではない。種であるどこの誰だかわからない男からの執着だ。一瞬の関係であったはずなのに男は無駄に健康な子を残した。
相手とはもう連絡を取るどころか姿すら見えないのに、目に見える遺伝子だけはしっかり残すという生き物としての意地汚い執着が透けて見えて寒気がするのだ。
種を飛ばして半分無意識に遠くで子孫を残すなんて、人の生殖行為というよりも植物の受粉と言ったほうがしっくりくるような子の成し方・・・。自分の遺伝子を何者かを利用して残す。残した後のことなど考えないし、残ったという事実さえ知らずに男は生きていく。
一方通行な遺伝子の交配は植物には通用しても、人類には子孫と共に傷も残す。
男はその残酷さを知らない。女はその過酷さで一生を潰すのだ。
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