第6話
もしも空亜が死んで、放置していたことがばれたとしても面倒は見ていたが急変したとか、家で手当てができると思っていただとかを泣きながら適当に話して悲劇のヒロインぶっていればかわいそうな母を責める者など出ては来ないだろう。あくまで病死なのだから。
しかし水だけ与えて放っておいたら発熱もひきつけも自然と治まってしまった。
雑種というものは人間であっても血統証付きより丈夫なのだろうか。
妊娠中でも金のため客と性行為を繰り返していたし、つわりの時期以外は酒を飲んで煙草も好き勝手吸い続けていた。
それなのに、生まれた。
その無駄で異常な丈夫さが憎たらしく、私の怒りを助長させる。
「元気いっぱいですね!」
医者だか看護師だか知らないが、出産時に笑顔で褒めてきたクソ女を子供とまとめてぶち殺してやろうかと思ったことを思い出した。
あーっ!あーっ!と、空亜の言葉にならない叫び声が耳に届いて濁った過去から現実に引き戻される。過去にも現実にも逃げ場がない。どこにも行くことができないのなら、もう消えてしまえたらいいのにとまで思うようになっている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます