第4話

 困窮しても責められるのが売女の運命だ。


 そんな商売をしているからだとか、楽して稼ごうとしたお前が悪いとか・・・。


 憎たらしい正論で傷ついているところをさらに叩きのめされる人間サンドバック。妊娠しようが暴行を受けようが助けを求めたところで被害者ぶる阿婆擦れだと、救いの手を差し伸べてくれる人などいない。


 人権など私にはないのだろう。犬や猫の方が今どきはずっと手厚く保護されるに違いない。私は畜生以下のナニカなのだ。


 私は人間に向いていないとつくづく思う。そんな人間だか何かわからないナニカがナニカを生み出す。もう後戻りできないところまで来てしまった私は地獄よりもっともっと深くて暗い独りぼっちの世界へと向かう。


 今まで疎ましいと思っていた夜のいかがわしいネオンですら懐かしく思えるほど光が遠くなっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る