第57話 夢と希望を諦めない! チームピクシー全員変身! 想いが重なり目覚めた奇跡!! その2



 足りない。


(奇跡を起こすには、まだ何かが足りてない……!)


 あと一歩。

 何かが必要だってことはわかるのに。


(その何かが、掴めないっ!)


 咆哮が響く。


「うおおおおおっ! 羽虫どもがぁぁぁ!!」


 クゥちゃんの一撃を受けて、それでもまだ健在。

 間違いなくこれまで戦った敵の中で、一番に強い相手。


 でも、今の私たちの相手じゃ、ない。


(勝てる。だけど、勝つだけじゃダメ……ダメなのっ!)


 だって、奇跡がないと。

 奇跡を好き勝手に起こせるくらいじゃないと、この願いは叶えられないっ!



「アクア!」


「アクアちゃん!」


「アクアー」


「「アクアちゃん!」」


 みんなが私に注目する。

 これでいいのか、このままでいいのか、そう聞いてる。


「……ダメ。何かが足りない、何かが足りてないのっ!」


 何が足りない?

 奇跡を起こすために何が必要?


 私たちにできる、私たちだから起こせる奇跡には、一体何が必要なの?


「うひぃ、あいつ回復してるっぽくなぁーい?」


「わー! ホントだ! 傷が回復してってるー!!」


「アクア! さすがに何度も攻撃繰り返せるほど、私たちの魔力は残ってないわよ!」


「……っ!」


 考えろ、考えろ!


(みんなと力を分け合って、想いを高めて一緒に戦う。これが正しい確信はあるけど、奇跡は起きてない)


 力を分けないと、一緒に戦わないとできないことって、何?


 そう思ったとき。



「……!!」


 

 答えを見つけた。 



「みんな! 一ヵ所に集まって!!」


「「「了解!」」」


 私の声に、間髪入れずにみんなが応えて、集まってくれた。


「こたえわかったー?」


「うん。みんなの魔力を一つにするのっ!」


「魔力を、一つに?」


「そう……高めた想いを合体させて、みんなの想いを重ね合わせて、奇跡を起こすんだよっ!」


 みんながいるから、できること。

 みんなとだから、できること!


「あー、合体技だー!」


「海でクゥちゃんとやってたねぇ」


「そう、あれをみんなで、一緒にっ!」


「興味深い。さっそく実践」


「やるならさっさとキメるわよ! アクア! あんたが中心で私たちの想いを束ねなさい!」


「うんっ!」


 私を中心にして、みんなで円陣を組む。



「「「想いを、一つに!」」」



 瞬間。

 それが正解だよって言ってくれてるかのように、胸のクリサリストーンが輝いた。


「この期に及んでさらに何かしようっていうのか羽虫どもがぁぁぁ!!」


 流砂を打ち破り、空高く飛び上がったベビフェスが、私たちめがけてこぶしを振り下ろす!


「「「はぁぁぁぁっ!!」」」


 それを私たちは息ぴったりで受け止めて、押し返す!


「うおおおおっ! バカなぁ!!」


 敵が大きな隙を見せた、そのとき!!


 ピカッ!


「「「!?」」」


 私たち一人ひとりの前に、突如として光の玉が現れて。

 そこから、四葉のクローバー模様が刻まれたタクトが生成された。


「みんなっ!」


「「「うん!」」」


 私たちは全員、それをどう扱えばいいのかわかっていた。



「「「ピクシークローバータクト!」」」



 世界が色を変える。

 世界が姿を変える。



「夢と希望を、力に変えてっ!!」



 想いを重ねて。

 奇跡を呼び起こす!



「「「クロスミラクル、グッドラック!!!」」」



 私たちの想いを重ねた魔力が、巨大な四葉のクローバーを形作ってベビフェスに向かう!


「う、うおおおおっ、オレはこんなところでは……!」


 四葉のクローバーがベビフェスにぶつかれば、その背後でシロツメクサが咲き誇り。


「欲望が、オレの欲望が昇華されて……ぐおおおおおお!!! 大帝陛下ーーーー!!」


 内側からいくつもの白い光の筋を吐き出して。

 究極従魔アルティメットサーヴァントと一体化して最強となったベビフェスは、爆発四散した。


 それが、知謀のダーク四天王ベビフェスの最期だった。



「みんなの平穏はっ!」


「「「私たちが、守る!!!」」」


 6人並んで勝利のポーズ。

 戦いは終わった。


 でも!



「みんなっ!」


「わかってる!!」


 まだ!

 まだ終わりじゃない!!


(私たちの夢と希望ハッピーエンドには、あの人がいないと、絶対にダメなんですっ!!)


「アクア! やるわよ!!」


「うんっ! みんな、力を貸してっ!」


「もっちろん!」


「任せて」


「全力でやるよぉ……!」


「ささやき、いのり、ねんじるー」


 みんなの想いをもう一度まとめて、私たちはタクトを空に掲げる。


「「「ピクシークローバータクト!!!」」」


 奇跡よ起これと、私たちは世界に願った。

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