第54話 魔法少女大連携! 逆転の鍵はピクシーアクア!? その1



「ぇ、ぁ……」


 雄星さん。


「ぁ、ぁぁ……!!」


 雄星さんっ!!


「ああああああああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!!!!!!!」


 雄星さん雄星さん雄星さん雄星さん雄星さん雄星さん雄星さん雄星さん雄星さん雄星さん雄星さん雄星さん雄星さん雄星さん雄星さん雄星さん雄星さん雄星さん雄星さん雄星さん雄星さん雄星さん雄星さん雄星さん雄星さん雄星さん雄星さん雄星さんっっっ!!!


「うわああああああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!!!!!!!」


 そんなちがうありえないうそちがうそんなありえないちがうちがうちがうちがう!!


「アクア! アクア!!」


「フゥンッ! 最高だ! サイコーだぁ!!」


「雄星さんっ! 雄星さんっ!! 雄星さんっっ! どけて、この足どけてください。下に雄星さんがいるんです、どけて! どけてよぉ!!」


「いいぞ。そらっ!」


 ゴッ。


「ガッ……!!」


 ぁ……れ……意識が……ゆうせい、さ……。



「……アクア!!」


「え?」


 あれ?


「よかった、生きてる! 生きてた、アクアぁ……!」


 キララ、ちゃん?


「アクアいしきとんでた。いたいとこあるー?」


「ぇ? クゥちゃ……っ!」


 全身が、いた……い?


「アクアちゃん。これ噛んで」


「んぐっ」


 に、苦い!!


「気つけ薬兼痛み止めの薬草。多少は魔力も回復するはず」


「み、みもみふぁん?」


「アクア。残念だけど、まだ戦闘中よ」


「んぐ。けほっ、こほっ……キララちゃん?」


 何言って……。


「!?」


 体を起こすと、そこにはこっちを見下ろして嗤う化け物がいた。



「フゥン、ピクシーアクアは起きたようだが、お前たちはまだそこに、意味もなく立ち塞がるのか?」


「……そりゃ、意味なんてないかもしれないけどさぁ」


「想いで負けたら、ホントに勝てなくなっちゃうからね!」


 ネムさんとコクリちゃんが、私たちを守るようにベビフェスと向き合っていた。

 変身もできてない、ボロボロの姿で。


「夢と希望で世界を満たし、安寧へと導くのがお前たち魔法少女リリエルジュ、だったな」


「そうだよぉ? だから、こんな騒動の種にしかならないやつは、何とかしないとねぇ」


「変身できなくたってさ、戦えないわけじゃ……ないもんね!」


 強気な言葉を返しているけど。

 その足元は不安定に震えていて、今にも崩れ落ちそうだった。



「アクア、落ち着いた?」


 ?


「え、何その顔……あんたまさか」


「ストップ、キララちゃん。ここはわたしに任せて」


「え、ちょっ」


 キララちゃんが押しのけられて、代わりに私の前に立ったのは。


「ミドリちゃん?」


「うん、うん。その様子だと覚えてない感じだよね。でも、それじゃダメ。心を閉ざしたリリエルジュに未来はない」


 何を言って……。


「聞いて、アクアちゃん。お兄さんは、わたしたちのお師匠様は……もういない」


「ぇ――」


「わたしたちを助けてくれないし、どこかで見守ってくれてるわけでもない。だから――」


 パンッ!!


 ミドリちゃんの両手が、私の頬を挟んだ。


「全部理解して、それでも、立ち上がって!」


「!!」


「この状況を変えられるのは、きっと、アクアちゃんだけだから……!」


 そう言うミドリちゃんの目元は、少しだけ赤くなっていた。



      ※      ※      ※



「あいつは、アクアちゃんの魔力を使って生成された従魔サーヴァントだから、アクアちゃんならその魔力を奪い返せる可能性がある。わたしたちの中で一番『魔力操作』に長けてるアクアちゃんなら……ワンチャンス、くらい」


「ワンチャンス……」


「正直、今の私たちの状況は詰みも詰み。全滅必至な状況よ。だから、どんなか細い可能性にでも、賭けなきゃいけないの」


「クゥたちがみちつくるから……アクアは、あいつにふれて、ちからをのぞんで」


「作戦とは言えないレベル。でも、可能性はゼロじゃない」


「………」


 自然と、口が動いた。


「わかった。でもそれなら――」


「「え?」」


 私は思いついた作戦を、みんなに伝える。


「――これでいい?」


 伝え終わって確かめれば。


「だいじょうぶ。それならいけるとおもう」


「前から思ってたけど、アクアちゃん、結構えげつない」


「ふふんっ。それくらいじゃないと、将来の王佐の才アンジェーテは務まらないわ!」


 みんなからの色いい返事に、ホッとした。


 と。


「なーに“役に立ててよかったー”みたいな顔してるのよ、アクア!」


「え?」


「私はあんたをしてるのよ。あんたがいないと負けちゃうの。あんたが仲間にいてくれてよかったわ」


「肯定。アクアちゃんはわたしたちのクソ雑魚特攻を作戦に変えてくれた」


「こんどはクゥたちが、アクアのきたいにこたえるばんっ」


「っ!」


 みんな……!


「さぁ、アクアが頑張ってくれたんだから! 私たちもやるわよ!!」


「「「了解!」」」


 ベビフェスとにらみ合うネムさんとコクリちゃんまで声を上げ、私たちは一致団結した。

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