第7話

「もう観た?」

「観た観た!も〜すっごいキュンキュンした〜」

流行りの映画のコメントって、なんだか似てるものが多い。万葉集の時代から、海外ではもっともっと昔から、引きも切らず恋愛ソングの多いこと。

演劇もそう。

そんなに素晴らしいものなのだろうか。

ハッピーエンドと同じか、もしくはそれ以上にバッドエンドも存在していて、こんなことなら恋なんかしなければ…そう詠む歌人もまた古くから存在する。

「あいてみて…のちのこころをくらぶれば」

もっと早く知っていればと悔やまれる作品はたくさんある。けれど、こんな気持ちになるなら出会いたくなかったと古今東西のアーティストは詠み、歌う。

共感はできないが、切ない雰囲気は好きでバラードも失恋ソングも聴いている。

恋愛感情以外は敏感で、人の感情に振り回されている私だ。これで恋愛感情まであったら破滅していただろう。

今がちょうどいい。

初夏の風は薫風というらしい。

爽やかで、心地よい。

この心地よい風と同じに、今のセクシャリティは私にとってちょうどよく、都合がいい。

社会にとっては違うみたいだけど。

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