第七話押し問答なれど行き詰まらない
「ふーむ、少年誌ならば、まず、少年の定義とかしないといけませんからなぁ」
とか、山末愛斗は切り出した。
「自分は三世代に注目したいですね、老人はゴミ屑世代、良いも悪いも玉石混淆だがその考え方は一度、捨てるべきとは思います、カンブリア紀みたいですね、父親の世代は牙の世代、熱血と情熱が支配した時代です、ですが、僕達の世代は腑抜けの世代です、それを補うために虚勢とかしまくるんですよ、懐かしい牙への回顧や断捨離もあるでしょう、まぁ、新しい牙も考えないとね」
とか、長々と色々と
要するに中年男性の編集者への不信感だ。
天坂勝子が女性で良かったと少し思う。
「新しい牙?」
新しい牙、牙、野生、ワイルド、それだけで何故か、狂気的に感じるのは何故だろうか、あらゆる英雄譚が狂気的に見えるからだろうか、それもまたバイアスとして捨てようと思う、まだ、そんなに老いてはいないが。
「グロテスクについても第二次世界大戦の戦後を描いたはだしのゲンを基準にしない方が良いです、手塚治虫もグロは多いですし」
とか、なんとか言っている。
「だから、流血のグロテスクには馴れているんですよ、精神的なグロテスク、心の闇の醜悪さをどう小綺麗に描くかが肝心です」
とかなんとか言っていた。
「自分としては子供達の心の闇の醜悪さをあり得ない、そんなの考えないとか気に入らないと思います、子供の大人への憎悪は計り知れない、アメンはラーと混ざり、アメン=ラーとなった、とかも思い出しますね」
どうしてそんなのを思い出すのかという思考回路については問いたださない。
それをしてもあまり意味はない。
「‥‥‥社内政治を克服して、編集室を作家が牛耳ってもそれはあまり意味ないわ、それは作家を無批判にして下さいという百害あって一利なし、編集者は読者足り得ないから」
それもまた真理のように見えた。
「ふーむ、呉越同舟になるぐらいがちょうど良いと良いですか、まぁいいですとも」
とか山末愛斗は落ち着いたと思ったが、違った、新しい爆弾発言をしていく。
「確か、お母さんのお父さんのお爺さんにはサタンのアラビア語ではシャイターンと言ったらアラビア語を学び始めて、最終的にハクション大魔王の話をされましたねぇ」
どういう話の流れでそうなるかその二人の会話イベントだけは無明極まると天坂勝子は思ったが、驚嘆すら覚えてしまった。
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