第八話束縛と呪縛は紙一重


夜が更けてきた、しかし、話は続く。


「やはり、上京がネックでしょうが」


山末愛斗はやさぐれていた。


「まぁ、でも、母親に自分の預金通帳どこにあるか確認したらと言われたり、父親には家出してもトラックの運転手の知り合いとか使って必ず見つけてやる地獄の果てまで追いかけるとか言われたりしましたからね、そんなこんなで今です」


天坂勝子は融通が効かない子と思った。


「夏休み一人旅行すると嘘ついて‥‥‥うーん、それはそういう事ではないよな」


思春期、家出なんてどこにでもある、尾崎豊の15の夜、そこから十七歳の地図だ。


子供達が何故、荒れ狂うか、そして、それに対するヒステリックがどのように醜く戯画カリカチュアされるかを真剣で受け止めないといけない時だってあるとも思った。


「家庭環境は良かったのかしら?」


それの問いにこう答えられた。


「介護に全集中して半分ネグレクトみたいでしたね、かまってくれなかったんです」


とか、そんな介護の地獄的側面の話をされた、きっと、そういうお話もざらであり、ヤングケアラーにならないだけマシだろう。


「自分も介護したかったですし、でもなんていうか、この前、自分のケツは自分で拭けると言ったら、拭けないでしょ!って怒られたんです、長い介護は人を狂わせますね」


と、山末愛斗は鬱陶しげに言い終えた。


よくわからない領域の話だ、介護すると育児を同時にする母親の負担はどうだろう。


父親はどうするのか、仕事に重点的になるのは良い、それで人生の幸せが総崩れになってしまうのならば、本末転倒だと思う。


家庭崩壊、無理心中の可能性も多い。


本当に多い、とにかく多い。


多過ぎて、嫌になってくる時もあるだろう、そんな苦しみは介護ロボットが発達してやっと人工知能は理解していくだろう。


まだ、SF的な科学は夢のまた夢である。


使用人が介護を負担するというお話も出来るがそれならホームヘルパーとか訪問介護とかでも頼めば良い、ショートステイするのだってかなりよいだろう、任侠ヘルパーというのだって、昔はドラマであったのだから。


「‥‥‥あれ、何の話だっけ、家出だよね?」


それに山末勝斗はこうも言った。


「自分はHUNTER×HUNTERのジャイロ好きですね、常人には未踏の悪意の話、とても好きです、ありきたりなチンピラではないところが最高とも思って共感はしていない、けど、いつかこういう形もありと思った」


‥‥‥‥絶対にその運命だけは拒絶させようと天坂勝子は心に誓い、即座に否定した。


「普通はゴン、キルア、クラピカ、レオリオ、それにヒソカのどれかで、私はネオン・ノストラードの占い能力が欲しかった、それかグリードアイランドでも色々そこから考えられるのに、旅行なんてアカンパニー!オン!じゃない、東京だけが世界の全てではないよ、世界の光の面も熟知しなさい」

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