第六話策士、策に溺れるみたいな
「オタクらしさの再定義が必要ですね」
山末愛斗はそんな事を言う。
「平行世界云々は今はいいでしょう、だって、この世界はあらゆる人間にとっては嘘みたいだけど真実な時がありますからね、その点、バイオハザードが起きたら一番ヤバい場所はコミックマーケットですよね?」
いいんじゃなかったのかと天坂勝子は思う。
オタクゾンビ、もはやゾンビ娘にも萌えを見いだせというのか、それはそれで味がある。
「いや、ゾンビのコスプレすればいい」
天坂勝子は話の方向転換をした。
山末愛斗はこんな事と吐露した。
「昔、一度だけコスプレの話しましたよ、戦国無双の竹中半兵衛のコスプレをパソコンから直接、その友達に見せたのです」
天坂勝子がそれを聞いた時、思ったのが洗脳だ。つまりその友達が竹中半兵衛という言葉を聞けばこの男を思い出し、コスプレという単語を聞いてもこの男を思い出すだろう。
「オーソドックスな罪な男ね」
天坂勝子がそんな事を言われたら心臓がドキドキしてくたばりそうになる、無論、悪心とは無関係であり、恋のときめきだろう。
「コスプレ、コスプレですね、んー、ONE PIECEとかなんか今更感ありますよね」
そこら辺の視聴リストの羅列はなんだろうとも思ってしまう、集談館とぼかした意味がないだろう、しかし、彼はこうも続ける。
「スポーツ漫画で一番面白いと思ったのはアイシールド21です、テニスの王子様もいいけど、俺のとこの中学はテニス部が廃部してて、剣道部もついでに廃部してました」
なら、残る部活動は何かと聞いた。
「うーん、残る選択肢は陸上部だけです、嫌々なので
なんというオッカムの剃刀だろうか。
どんな田舎ならそんな有り様になるか。
天坂勝子はそんな彼を不憫に思った。
「帰宅部でもよかったのでは?」
自由意思を尊重するのが本来の民主主義のありかたとは思うが、多分違ってそうだ。
「うーん、でも、友達の大半が陸上部だったのでそれはそれで青春でしたよ、あくびしたら平手打ちされて帰れと言われたけど、帰りませんでした、なんか誉められましたね」
グッドバイしておいてくれと有害な男らしさとド根性と天坂勝子は思ってしまった。
「ゲームする時間、どれくらいあった?」
山末愛斗は何故か舌打ちをした。
「フグの白子は美味しい、毒がないやつで焼かれてないとないと食えたもんじゃない、それみたいな感覚を取り戻しました」
彼を不愉快にさせてしまったらしい。
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