第五話大部分の一般人は気にならない話題


「お金があればいい、例えば、売春ってありますけど、最初の軍資金がないと脱毛とかメイク費用もないのパラドックスですね」


山末愛斗はそんな事を言う。



天坂勝子はなるほど、そういう意味でも光る原石という言葉は使えるという事かと納得した。


「いや、男娼だんしょうは難しいけど」


だがしかし、その話は続けられる。


「女装すれば最近のニーズにもあるし、やっぱり、新宿二町目とかがいいですよね、あーでも昔、ブルーボーイ事件があって、日本では性転換手術がしづらく、普及もしていないから、性転師がいたりするんですよ」


天坂勝子はそれに首をかしげる。


「ブルーボーイ事件?そういうのってあったかしら?えーとうろ覚えですらない」


山末愛斗と記憶の不一致があったようだ。


全知全能のパラドックスという言葉もあるし、そもそも国会図書館の蔵書を半分以上、大半、全部を読めるような人間はいない、そういうようなお話だってあるだろう。


国会図書館でないならば漫画喫茶でもいい。


「あー、これは妄想かもしれませんね」


山末愛斗はそんな事を言う。


そもそも男娼という言葉は男色の相手としての男娼と女性に買春され春をひさぐ男娼に大きく二分される、天坂勝子はその娼年とかいうなんか聞いた覚えのある話を否定した。


「‥‥‥普通にバイトしたら?」


その質問に質問で返された。


「ふむ、異常なバイトというのは殺し屋ですな?」


天坂勝子はそのもう一つの答えに驚愕した。


「は?」


そんな事により山末愛斗の罪深さが増した。


「ふむ、いえ、あー、まぁ、はい」


そんな曖昧模糊な態度をとられた。


天坂勝子はもしや編集者と作家としての打ち合わせだと思われているとも感じた。


「それはナイスアイディアだわ、せめて、小説の中では五百万円でも稼いじゃいなさい」


そんな釘を刺されてしまった。


「うん、やはり、そうですよね、ちなみに自分は実はナイフよりも首を折るとかが好きです、嘘喰いは親父と中古の本屋に行って、マキュベリゲームの17、18、19ぐらいの巻とAmazonで買ったコンビニ本で弱いやつは死ねダイヤボーのカラクルとか見ましたがそっちの首を折る方が好きですね」


それを聞いた天坂勝子は一旦、慮る。


ナイフよりも問題視すべきは首折りだ。


この子は筋肉質でもある、凶器すら使わず、その両腕こそが凶器になり得るだろう。


馬鹿力、怪力、剛力、筋肉パワー


天然の男性ホルモンの過剰分泌、それにこの中性的な顔は女性ホルモンも多分にある。


「‥‥‥婦女暴行はやめなさいね」


とりあえず、彼女はそんな注意をしてみた。

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