第257話 魔導具を作ろう!④

「さて、と…」


『無限収納インベントリ』から使えそうな材料をズラリと錬金台に並べ、形や性能を考える。


 聖女の状況を考えると味方かどうかわからない聖騎士なんかも側にいそうである。


 ということは…


「常時身に着ける物にするのは決まりとして、簡単にすり替えられそうな指輪やイヤリングみたいな小物…は候補から外そうか」


 …小物を外すと難しくね?ネックレスとかブレスレットもダメじゃん。ん~~~、髪飾りとか…は常時、は着けないか…。


「………………」


 …あれ?結構難しくね?


 ど、どどど、どうしよう…。


 …いや、そんな別に俺がわざわざ用意してやることもないんだけれども…。折角だから…というか受けたからには完璧に遂行したいとは思うし?

 仕方ない…少し妥協するのは必要か。まあ、全く思いつかなかったことは内緒にしておこうそうしよう。


 …で、だ。


 アクセサリー系がベターだと俺は思っているんだけれど、こういうアクセサリーって変な意味で受け取られても困るワケである。

 特に貴族だなんだの存在する異世界ファンタジーな世界である。余計にそういった慣習的なモノもあるんじゃあなかろうか。


 …となると、だ。


 創る前に異母姉たちにその辺りを確認しておいた方が良いかもしれない。………いや、絶対にそうした方が良いだろう。

 護衛対象を護る為の魔導具を創ったにも拘わらず、変なフラグをわざわざ建てる必要もあるまい。そうだそうだ、絶対に先に聞いた方が良いに決まっている。


 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


 ………と思っていたのだけれど。


「ユーリウスがアクセサリーをっ!?」

「女の子にプレゼントぉっ!?」

「相手は何処の娘かしら?」

「すぐにお相手の親御さんと話を…」

「ユーリ兄のお嫁さんかぁ…どんな娘だろう?」


 異母姉ズに話を持ちかけた次の瞬間には家の女性陣には伝わり…


「ちょっ!?違っ、違うからっ!仕事で必要な魔導具だとっ」

「いいのよユーリウス、照れなくても」

「母さんたちはちゃんと分かっていますから」

「時折遊びに来る娘たちの誰かかしら?」


 …照れてねぇ…つ~か全然分かってねぇ。あと時折遊びに来るってなんだ?俺はソレ知らんぞ。


 …と言い訳でもなんでもない、ちゃんとした理由も聞き流され…


「ユーリも遂に…」

「そうかぁ、ユーリウスがなぁ」

「俺たちもそろそろ見つけないと、かなぁ」


 知らんうちに兄たちが参戦し…


「ユーリウス、二人も三人も娶るのは自由だけれど経済的には大変だからね。まあユーリウスならその辺りは大丈夫だとは思うけれど」


 違うっ、違うよ父さんっ!誰も重婚する話はしてないよっ!?


「ユーリウス様、遂に…」

「お相手はギルマスか?王女か?」


 喧しいぞ義祖父さん。余計なフラグは建てないように気を付けろよ。…そう思いながら「それとも他にもいるのか?ガッハッハッハッ!」と笑いながら言う義祖父さんをドラゴンスリーパーで締め上げたのは言うまでもない。


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 全く話の進まなかった家族への相談を終えて、俺は錬金工房へと転移で戻る。進まなかった、とはいえヒントは得た。


 …そう、『アクセサリー』のような物だから駄目なのだ。アクセサリーではなく武骨な感じの、あくまでも『装備』に近い物にすれば………………ん?


 …アレだな、最初の構想からズレてきてるな。………だがまあ仕方ない、か…。思ったよりも難しいわ…。

『ソレに目立たないように』と小さめに創ろうかと思っていたけど、ソレはソレでやっぱり難しいか…。


 そして俺の選んだ物は手首から肘の間を覆う腕輪、というよりは籠手が近いか。コレにすることに決めた。

 うん、コレならアクセサリーとは絶対に思われないだろう。…フラグじゃないよ、ホントだよ?


 それじゃあ材料を厳選していこうか。

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