第255話 結果として


『神山メメントモリ』


『ソレストヴィング聖教国』の拠点にして国。かつての内戦時には超長距離魔導砲が設置されていたが、現在は撤去されている。


『人造神ヴェイダ』


『開祖イオリ=A=シュッテンバーグ』により造り出されたとされている。現在も稼働しているのかどうかはわからないらしい。


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「まあ、聖女様も今は大変みたいでねぇ…」


なんかアイアリーゼさんが面倒くさくなりそうなことを言おうとしている。


キュピーンと頭の中に稲妻が閃き「逃げろっ!」と俺のスキル『刻を視る者ニュータイプ』がそう言っている…気がする。


そして俺が「さて、そろそろ…」とバックれようかと思ったのを察したのか、アイアリーゼさんの追撃!………追撃ってなんやねん。


『サラリ…』とその金の髪を揺らしながら、『スルリ…』と俺の首にその白い腕を回してくる。『ふにゅん…』とアイアリーゼさんの二つのたわわが俺の肩辺りにたわわと押し付けられ、『フッ…』と俺の耳元でウィスパーボイスで囁く。


「お話………ちゃんと聞いてくれる?」


『こしょり…』と耳に届く吐息に危うく「おっふ…」と気持ち悪い声を出しそうになるし、いつもの俺ならコクコクと頷いてしまうところだが…今日の俺は一味違う。そういつもいつも俺のことを好きに出来ると思わないでほしい。


「聞きましゅ」


うん、いつもより酷かった。


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「『聖女派』と『教皇派』ねぇ…」


話を聞いてはみたものの、異世界モノの物語でならよく聞く話…。俺の感想としてはそんなところか…。


…で、護衛の聖騎士なんかもいるみたいだけれど、信用のおける聖騎士は数少なく、じゃあ外出ない方が良くない?と思うが、それはそれで教国内にいても良くないと…。


それで慰問…という形で国内から出て、護衛に俺たち修学旅行生と冒険者たちを使い、そのままクアンタム王国に身を寄せる…ってところか。


いやそれ完全に亡命やん?…いや、この世界に亡命って言葉があるかは知らんけども。…ん~、め、めんどい。


しかし、そんな『国』にも関係しそうな護衛依頼…俺の実力を知っているとはいえ、俺の冒険者ランクは『G』。冒険者(仮)である。そんなあくまで冒険者(仮)の奴に頼んで良いモノだろうか…。


「その辺りは国王からリリアーナ王女経由での推薦もあって大丈夫みたいよ」


…なるほど。やはりと言うかなんと言うか…。あの国王、今度嫌がらせしに行こう。


それよりも聖女様とリリアーナ王女が繋がっているとか…。さらっと出た情報だが…うん、やっぱり面倒そうである。


断りたいけど、さすがにこれだけ聞いちゃうともうダメ…かな?


「うふふ…もうダメよ」


…で、ですよねぇ。


アイアリーゼさんはニッコリ、と笑ってはいるものの、その笑みからは美しさとともに「もし今から断ったら…」というような何かを含んでいた…ような気がする。


や、やだなぁ、さすがに今からは断らないですよ。


まあ、コレがアイアリーゼさん、ミリアリーゼさん以外だったのなら、余裕でブッチギっていたのは言うまでもない。なんなら「絶対ヤだね、バーカ、バーカ、ベロベロベー」と煽り倒していたまである。


まあ、結果として受けてはしまったが…。


そう、悪いのは決して俺ではない。転生時に数有る状態異常耐性の中に魅了耐性を入れなかった誰か…多分、神様なのだろうけれど…のせいである。


そう…俺は悪くない。


「じゃあ細かいところはまた後日打ち合わせ、ということでお願いね」


「その時はアラド君抜きでお願いします」


「ウフフ…了解」


『バチコーンッ』とハートが出そうなアイアリーゼさんのウインクが直撃し、この日は冒険者ギルドをあとにした。


家に帰ったあと家族にこの件を報告、というか話したのだが、呆れと苦笑いが半々くらいの反応だった。ちなみに義祖父さんだけは大笑いしていたのでステップオーバートゥフェイスロックでギブアップを取ったことを報告しておこう。

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