第231話 ニール=フォン=デュナメス

「ようこそいらっしゃいました、ユーリウス=フォン=ゼハールト様。ここからの案内は執事長の私、ゼバスが担当させていただきます。そちらの執事の方は………御一緒にどうぞ。御者の方は馬房へ案内致します。その後、お泊まりいただく部屋へ案内しますのて、ゆっくりとお寛ぎください。ではユーリウス様、参りましょう、主がお待ちです」


 お、おおぅ…何て優秀そうな執事さん。名前がウチのセバスさんと濁点違いを除けば、おおよそ完璧じゃないかっ!

 おい、何だシーバス、その「私の方が強さも兼ね備えています」みたいな顔は…?お前は俺で遊ぼうとする節があるだろ…。「ソレはソレ、コレはコレです」…喧しいわっ!


 …と俺たちは衛兵隊長さんに案内されて、デュナメスの領主邸へと到着。そこではズラリと使用人たちが並び、その先頭にゼバスさんがいての先ほどの流れである。


 大きな敷地に大きな屋敷、門から屋敷まで何百メートルあるんだ?ってくらい広い。その門付近に並んだ使用人さんたちも屋敷まで戻るの大変そうですね…。


『ニール=フォン=デュナメス』

 エクシア王国の始まりの四人に連なる血筋だったか…。

 爵位は公爵。王族以外で公爵を許された三家のウチの一家で、大都市であり、王都エクシアの防壁としての役目を持つ、この交流都市デュナメスを治める領主。

 確か、初代の公爵から近接戦闘もこなす遠距離魔術師タイプ、ということらしいけど…。

 アレだ、多分口癖は狙い撃つげふんげふん…だな。間違いない…。


 ちなみにゼハールト家のあるヴァーチェの領主も公爵家である。こちらは確か大魔法を得意とするタイプ…だったかな?


 屋敷までの途中で御者さんは別の使用人に連れられて馬房へと向かう。多分デュナメス家の御者さんなんだろうけど、ウチのゼハールト家専用高機動型馬車ゼロカスタムに興味津々のようである。

 ふっふっふっ…格好良かろう。お馬さんの負担も軽減する優れ物なんですよソレ。


 …と、少しドヤりながら領主邸の玄関に到着。

 ゼバスさんがその大きく豪奢な両開きの扉を開けると…


「ユーリウス=フォン=ゼハールト…いや、ユーリウスと呼ばせてもらおう。我がデュナメス家へようこそっ!」


 多くの使用人…いやメイドさんを従えて、その茶色い髪は肩より少し長く、細身ながらも鍛えられているのがわかる身体付き、そして右目を眼帯で覆った切れ長の目………しかし、少し軽薄そうな雰囲気を醸し出してデュナメスの現当主、ニール=フォン=デュナメスが出迎えてくれた。

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