第227話 最高記録

 結局『勇者』やら『転生』『召喚』と『精霊』との関係なんて、考えてもわからないので「ま、いいか…」で終わった。

 前回の考察っぽい話は一体…おっと、メタいな。


 とりあえずノエルさんもシーバスも、わからないモノは考えてもしょうがないか…というスタンス。

 そんな話は置いておいて、このお店に入った目的を果たすとしようか…って、まだ何も見ていないな。


 冒険者時代の話に花を咲かせているのか、二人で何やら話しているから、俺はその間に店内を見て回ろう。

 魔導具店とは違う、魔法具店ならではの珍しい物が見つかると良いんだけどな…。


 そして見た感じ…


 う、う~~~ん…。

 錬金術で使う物が多い。そのせいか、ほとんどが俺の『無限収納インベントリ』内で可能な物ばかりに見える。

 う~ん、もっとこう…魔法具店らしい物をっ!らしい特色をっ!


「そんなに変わった物は置いてないわよ」


 …とノエルさんの横槍。


「いや、そんな残念そうな顔をされても…」

「ユーリウス様、商売なのですから珍しい物を並べているだけでは…」


 そりゃそうなんだろうけどさぁ…。折角なら何か変わった物とか欲しいじゃないノエルさん、何か取っておきのっ!こんなのはどうだっ!って物はないですか?


「そう言われてもねぇ…」


 くっ…やはり無いのか…。何か…何かっ!


「………………あっ」


 あっ?


「大した物ではないのだけれど…」


 けれど?…そう言い、奥の部屋に行きごそごそするノエルさん。数瞬待ち、出てくると…


「こんなのはどうかしら?」


 スッと手渡されたのは…ペン?


「ソレは魔法ペン。インクの代わりに魔石を溶かしたモノを使うわ。…で巻物スクロールなんかに属性に応じた魔石で魔法陣を描くと…」


 ほほぅ…ソレはなかなか。ソレなら俺がスクロールを作って、そのスクロールをセイ兄やレイナに渡しておくことも出来るワケか…。


「まあ、描く魔法に適した魔力を流しながらじゃないと描けないし、その魔力を籠められる魔法紙も必要だから、大魔法のスクロールはポンポン作れないけれどね」


 ………結構制限在りますね。


 でも、コレはかなり有用だと思う。スクロールにしておけば魔力の節約にもなるし、その人の使えない魔法も使えるワケだろ?

 それに魔法紙…動物紙か植物紙か、どちらでも良いけれど、魔力を籠められるモノなら多分『無限収納インベントリ』内で作れるはず。紙の作り方から魔法陣まで…ウチの『鑑定』先生は万能だからな。

 うん、買いだな。


 俺は新たな便利アイテムをゲット。ついでに、と言わんばかりに店内のスクロールも全て売って貰った。

 まだ俺の知らない魔法とかが在るかもしれないし、鑑定先生に解析してもらえるからな。


「一日の売上の最高記録よ…」


 とはノエルさんの言。


 こうして俺は、綺麗なダークエルフのお姉さん?が営む『ノエル魔法具店』をあとにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る