第226話 この違いは…

「なるほど二度の転生…ね」


 …と言うワケで俺が異世界出身で二度の転生を経験していることをノエルさんに話す。もちろんスキルなんかのことは話さないが…。


「…それから元『勇者』っていうのも面白いわね」


 いや、面白い要素はどこにも無いんですけどっ!?


「…となると『異世界出身』………というのがポイントなのかしら…」


 今のところ共通点はソレだけですね。ただし…


「『召喚』か『転生』か、か…」

「『召喚』はともかく『転生』は体系化どころか話にも上りませんしね…」


 そりゃあそうだろう…。『転生』なんて試すためには確実に人一人の命を使うことになる。いくら倫理観が薄い異世界でも、そんな人体実験は………多分いるんだろうなぁ。今のところ、そんなことする奴には会っていないけど…。


「私の知っている限りでは、魔術師ギルドやら魔術師協会でも、そこまでマッドな奴は聞いたことがないわね…」


 まあ、そんな輩は表には出てこないだろうなぁ。そんなことより『マッド』って言葉が異世界にある方がビックリだよ…。


 ちなみに『召喚』は体系化されていたりする。まあ『異世界』なんて別の世界からの召喚なんて確実性も無いし、その代償も大きい。そのくせ、最後の手段的に使おうとするのはよく分からないが…。


 俺は転生だったから気持ち的にはわからない部分もあるけれど、召喚された側からしたら誘拐と大して変わらないのだろうと思う。実際その辺りはどうなんだろうね?


 いや別に、現実に地球での生活やら何やらに絶望している人間なら良いのかもしれないけれど、そんなメンタルの人間が剣や魔法、魔物が犇めく異世界でやっていけるのだろうか?と先達の身としては考えてしまうワケだ…。


 俺?俺はほら転生だから。文字通り生まれ変わったから良いんですっ!


 閑話休題。


「話に上らないって言うのも『魔術的に』とか『魔法的に』っていうだけで、生まれ変わりについてはいくつか例はあるわね?」


 そうなの?


「聖女や聖人、剣聖や魔王なんかでもそのような話はいくつか聞いたことがありますね」


 ほぉん?じゃ、偶々この国ではそのような話が無くて他国には結構あったりするのかね?…で勇者は?


「勇者の生まれ変わりってのは聞いたことは無いわね…」

「ふむ…私もありませんね」


 なら、ソレは俺が初ってことになるのかね?ただ、俺の前世が『今の世界の過去』だったのか、また『別の異世界』だったのかはわからないし、転生勇者がいたとしても実際黙っていたり、隠していたりしたらわからないだろうからな…。

 それに…。


「今の話だけだと『勇者』は異世界と関係のある者、だけに限定されていそうに聞こえるけれど…」

「そうですね…今の話だけならば、『そう』聞こえなくもないですね」


 確かに『そう』聞こえなくもない。…けれど俺は『元勇者』の称号は持っているけれど『勇者』の称号を持っているわけではない。

 この違いは正直わからないけれど…。

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