第225話 いえ、確か…

 美しいダークエルフの女性『銀の魔剣妃』こと、ノエルさんの『精霊視』というスキルで視られた俺は『精霊に好かれる』という属性が発見され…た?

 ステータスにもそんなの表示されていないし、新しく獲得した覚えもない。ん~~~、何かあるのだろうか?


「好かれている…というだけで特に何もないんだけどね」


 ないんかいっ!?


「本日のツッコミも良いキレを出してますね」


 キレは関係無いだろっ!?あと『本日のツッコミも』とか何だっ!?評論家かよっ!?


「違いますが…」


 やかましいわっ!?


「強いて言えば、多少属性魔法が強くなるくらいかしら…」


 さっき『特に何もない』って言ってなかったっ!?


「貴方の場合はソレが全属性なのよね」


 動じねえなっ、おいっ!?


「お疲れ様でした」


 半分はお前のせいだけどっ!?


 はあ、はあ…いかん。この二人が揃っていると俺との相性が非常に良くない。俺は本来ボケよりのはず…こんなにツッコムことはないのだが…。


「全属性の精霊に好かれているのって、凄く珍しいのよ?」


 ノエルさんは全然ブレねえな。といより元々こういう人ってことか…。ま、まあ、いいか。

 …で、凄く珍しいっていうのは?


「普通は一属性がほとんどね。二属性の精霊に好かれているだけでもかなり希少レアよ。三属性以上の精霊に好かれている人は正直見たことが無いわね」


 へえ~…。


「私は会ったことが無いからわからないのだけれど、上位種にあたる『ハイエルフ』とか『エルダードワーフ』とかにはいるらしいわ。そんな中で…」


 俺が全属性に好かれている…か。


「ちょっと聞いたこと無い………いえ、確か」


 ………ん?


「確か異世界から来た『勇者』がそんな感じだったという話が有ったかしら…」


 おっと…ここで『勇者』とか言葉が出てきちゃうか。でも前世でそんな話が出たようなことは無いからな。やっぱり俺のことでは無いだろう…。

 それに俺は『異世界から来た』のではなく『異世界から転生した』が正しいからな…『来た』のなら召喚なり転移なりしてきたことになる。


 まあ、同じ『勇者』というのは共通点になるのかもしれないけれど、今の俺はソコからもう一度転生しているからな。関係は薄いような気がする…んだけど…。


「…でシーバス、貴方のご主人様は何者なの?」

「………………」


 さすがにシーバスも黙る。でもソレって…


「沈黙は是と取っても良いのかしら?」


 そうなるわなぁ…。


「ユーリウス様…」


「あぁ、良いよシーバス。俺が話す…」


 別に、黙ってはいるけれど隠し通そうとは思っていないからな…。

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