第216話 褒美


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騎士団長に連れられて国王陛下の寝室に到着すると警護の兵だろう扉の前にいた二人がノックをしてから入り確認。

 再び出て来て「どうぞ」との一言。


「失礼します」


 騎士団長がそう言い入室。俺とシーバスも後に続く。


 天蓋に覆われた大きな…正しくキングサイズのベッドに身を伏せっているのは、この国の国王『セツナ=フォン=エクシア』陛下その人である…が…。

 全身が包帯でぐるぐる巻きの見事にミイラ男状態である。


 コレがリリアーナ王女との『対話』の対価だったのだろう。

 おそらく…トランザげふんげふんされ、トランザムバースげふんげふんされ、そしてトランザムライげふんげふんされた…げふんげふんばかりやないかいっ!とツッコミが入りそうだが仕方ない。


「陛下…お加減は?」

「ふっ…見ての通りだ」


 俺とシーバスが笑いを堪えてプルプルと震えていたのは言うまでもない。なんなら俺は少し吹き出したまである。騎士団長の大きな背中の後ろにいたので陛下には見えていなかったようだけど…。


「一先ず用事を済ませましょう。ユーリウス=フォン=ゼハールトを連れて参りました」


「陛下、再度の呼び出し…一体?」


 俺は笑いを堪え、国王に問う。まさか昨日の件を引っ張らないよな?と願いながら…。


「ふむ、魔人討伐…実際には捕縛になったワケだが…その褒美をな…」


 ああ、そっちか…。ま、貰える物は貰っておこう…と思わないでもないが…


「陛下…その程度の話であれば後日に通達などで良かったでしょう。何もその状態で呼ばなくても…」


 …と団長殿からのお言葉。俺もそう思うよ。


「なに…昨日の件の口止めもあるからな。顔を付き合わせていた方が良い」


 そらそうなのかもしれないけれど…


「わざわざ言いふらしたりはしませんよ。ご安心ください」


「そうか…」


 国王はそう言うものの、どうせそんな事は…俺が触れ回ったりすることがないのは分かっていたんじゃないかと思う。


「とりあえずユーリウス=フォン=ゼハールト。昨日有耶無耶になった件は…」


 うげっ!?その話、出すの?


「そのままだ。安心するといい」


 あ、そうなん。それならそれで…。


「今日は先程言った通り、魔人討伐の褒美の話だけだ」


『今日は』に含みを感じるのは気のせいですかね?


「貴様が結界を展開したうえで戦わなければ、多くの貴族や兵士に被害が出ていただろう。私には戦闘に勝ったとしても、そのようには戦えんからな」


 まあ、そうだろうなぁ。片手間に結界を展開しながら…なんてそれなり以上に魔力量が無ければ出来ないからな。

 その辺り、ちゃんと評価してくれるのは嬉しいね。


「それで…だ」


 さてさて、一体何を貰えるのだろうか…。


「ユーリウス=フォン=ゼハールト、貴様には爵位を」「あ、いらないです」

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