第215話 『対話』
「いやぁユーリウス君…今のはちょっと…」
「ユーリウス様…」
すれ違い様の我が愚兄エリウスの呟きに思わずぶん殴ってしまった俺ことユーリウス=フォン=ゼハールトです。
絶賛、騎士団長のオッサンにはドン引かれ、シーバスはオヨヨ…と泣いている振りをされています。
「仕方なかったんです…。この異母兄が「覚えていろ…」なぁんて言うもんだから、こうして忘れてくれるのを願うしか…」
「いやいや、何を遠い目をして言っているんだ?」
「もはや誤魔化す気も無い感じですね…」
いやぁ…だって、もう面倒くさいし…忘れてくれた方が楽じゃん?…と言うワケで…
「ああぁ…みなまで言わないでも良い。騎士団の奴らに後始末はさせておく」
ありがとうございます。是非よろしくお願いします。
「存外、騎士団長殿もノリが良いようで…」
そうだね。
「国王陛下もお前に似たようなところがあるからな…。こうしたことには慣れている…」
なんか…ソレはソレでいやだな。
「では案内しよう…着いてきてくれ」
そう言われ、団長の後に続く。…あっ、一応エリウスには『ヒール』もしてやったし、罅割れた石畳も土魔法で直しておいたことを報告しておこう…。
あとで聞いた話では、エリウスは団長の呼んだ騎士に自室に寝かされ、起きた時には『夢』としてエリウスの脳内では補完されたようだ。
もちろんエリウスの思想などに変化は無く、実は騎士としては優秀らしいのだが、この件を知った騎士からは頭が残念な奴認定されているらしい。
ちなみに団長のオッサンも接し方が変わったとかなんとか…。
閑話休題。
団長に着いて城内を進む…。が…アレ?昨日と違う廊下だな…。謁見の間かその控え室じゃないの?
「ん?ああ、ちょっとな…」
団長が言葉を濁す。おかしい…このオッサンならはっきりと物を言いそうだけどな…。
「何か理由でも?」
そしてシーバスの直球。ナイスだ。
「あ、あぁ…その………な」
ん?これは…濁す、と言うよりは言い難い…って感じか?
「言い難い事情でも?」
と再びシーバスの直球。今度はインハイにズバンッという感じで決まる。
「………どうせ後でわかるだろうがオフレコで頼む」
コクリ…と頷く俺とシーバス。
「実は…リリアーナ王女がな…」
あっ…と俺は察する。
そういえば昨日、俺が出た後にライザーソーげふんげふん…赤い光が立ち上っていたな…。と…。
うん…アレだ。国王陛下はきっと『対話』したんだ…と俺は理解した。
「いや、してませんよね?」
シーバス、うるさい。
「ま、まあ、そんなワケでこれから向かうのは国王陛下の寝室なんだ…」
どんなワケだっ!?とツッコミを入れたいところだが、ここは黙っていた方が良いのだろう。
そして国王陛下の寝室に行く、ということで今日の案内人が騎士団長のオッサンだったんだな…と納得した。
そして…
「ここだ…」
目の前には豪奢な装飾が施され…てはいない普通の扉。いや多少は凝っているか?
国王陛下の寝室の前に到着した…。
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