第212話 相も変わらず
連日の登城…うんざりした気持ちを抑えつつ、いやいや馬車に乗り、いやいや城へと向かう。いや全然抑えられてねえ…。
おかしい…前にも連日、同じ所に行ったような記憶が…。たしかアレは上級ダンジョンを踏破した翌じ…うっ、頭が…。
触れてはヤバそうなので、この記憶は恐らく勘違いだろう…。
まあ、ともかく城に向かっている。隣には同じく嫌そうな顔を隠してはいるが、雰囲気は駄々漏れのシーバスが。もちろん俺は嫌そうな顔も隠してはいない。
「ユーリウス殿、そんな嫌そうな顔をしないでください…」
思わず兵士さんが言葉に出しちゃうくらい嫌そうな顔をしているようだ。ふんっ…知らんな。
カラカラカラ…車輪を鳴らし、馬車は正門前へ到着。
「ゴホッゴホッ…うぅ、持病の癪が…」「そういうのいいんで降りてください」「…はい」
ちっ、時代劇の定番が通用しないとはなかなかやる。そこは普通「そいつぁていへぇんだっ!すぐに休ませねぇとっ!」って、するところだろっ。ユーモアの足らない兵士さんだぜ…。
…おいシーバス。俺に表情が見えないように顔を背けているのはいいがプルプル震えているじゃあないか…。俺の作戦がそんなに滑稽だったか?よ~し…あとでヒートエンドをお見舞いしてやるぞ。と心に誓い、馬車を降りる。
「少しお待ちください」と近衛兵との交代だろう…と思っていると、ザッ…ザッ…と近付いてくる一人の人物。
遭遇する可能性は無くも無い…そう思っていた人物が俺の前に…いや、横から現れた。
これはまた………面倒なことになりそうだな。やれやれ…。
そう俺に思わせる人物。それは…
「久しいな、ユーリウス…」
ゼハールト家の長兄…エリウス=フォン=ゼハールト、その人である。
ええぇ………面倒なんだけど…。…どうするシーバス?………無視していい?
「ソレはさすがにどうかと…」
ええぇ………じゃあお前、相手してくれない?アレの…。そう言うとシーバスはイヤイヤと頭を振り拒否の姿勢。
だよなぁ…。
さて、どうしよう…俺も相手するのスッゴク
「聞こえているぞユーリウス。シーバスも…。よくもまあ…ゼハールト家の長兄にして嫡子たる私をコケにしてくれるものだ…」
そうなんだよなぁ、一応とはいえコイツはゼハールト家の嫡男。立場だけで見れば庶子である俺とは雲泥の差があるんだけれど…。
「しかしソレもここで終わりだ。王が貴様に罰を降すまでもない。お前を討つっ!今っ!ここでっ!私がぁっ!!」
「「………………」」
………一体何の茶番だろうか?何処がどうなって、そうなったのか…もはやツッコミどころしかないんだが…。
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上級ダンジョンの件は筆者の他作の主人公の件で本編には関係ありません。
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