第202話 VS伯爵級魔人②
魔人は種族固有というか、物理ダメージカット、魔法ダメージカットというとんでも能力を持っている。カットの割合は爵位によるが伯爵級だと五十パーセントカットか…。ズルくね?と思わないでもないが………いや、ズルいよな、やっぱり…。
まあ、ソレはソレとして戦闘開始である。だって戦うことには変わりないし、与ダメージがゼロってワケではないからな。ダメージを与え続ければ倒せるし…。
伯爵級魔人は黒に近い紫色の魔力を両の拳に纏わせ、瞬動か縮地かは分からないが高速移動術で俺との距離を詰めてくる。
スキル『思考加速』のおかげで、相手がいくら速かろうが姿を見失うことはないし、能力制限が八割解放されているから速さでも負けはしない。
魔人の攻撃を避わし、時には受け流し、カウンターで攻撃を当てる。拳に魔力を纏わせているからか、当たるとちょっと痛いが…まあ『ちょっと』である。俺へのダメージ…というほどではない。
丁度良い、このままスキル『格闘術』のレベルを上げさせてもらおうか。動きの一つ一つを確認して勘を取り戻しながらレベル上げ。うん、完全に舐めプってヤツだけど、受けに回っているからしばらくは気付くまい。
「う、動きが…」
「まるで…見えない…」
近衛騎士たちは、この戦いを見て…あんまり見えていないみたいだけれど…ショックを受けているようだ。
貴族たちは言わずもがな…。
中には見えている人もいるようだが…。
「ふんっ、やるなユーリウス=フォン=ゼハールト。あの速さの攻撃を捌くか…」
「騎士団長…貴方ならやれますか…?」
「相手をしろ…と言うのならば…」
国王、近衛騎士団長なんかは見えているみたいだな…。…というか団長さんいたのか。
ちなみにシーバスは全然見えていたりする。そして自分が見えていることに驚いているようだ。言ったろ?シーバスでも勝てるって…。
そして…
慣れてきた俺は、徐々にカウンターを取り出し小さく攻撃を当てていく。防御の勘は取り戻してきたからな…今度は攻撃の方だ。
魔人はダメージカットのせいで防御が疎かになりがち…いや、ほとんど気にしていない。だから…
『バキィッ!!』
「っ!?………ぐっ」
ソレをダメージだと認識した時に驚くことになる…。
そして、そのダメージを普段もらわないから『偶々』だろう…くらいの感じで、理解もせずに同じ攻撃を繰り返す…。
魔人は回復力も高く早いからな…多少のダメージなど気にしない。でも…
『ズドンッ!!』
「ぐっ………はあぁっ!?」
魔人の右ストレートに合わせてカウンターの三日月蹴りが魔人のわき腹に突き刺さる。
「こ………の…」
そしてようやくダメージに対して警戒を始める…。
「さあ…今度はこちらから行こうかっ!」
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