第201話 VS伯爵級魔人①
『天使化』…久しぶりだが、いつ使用しても良いように少しずつバージョンアップをさせていた。と言っても内容は実に単純…羽の舞うエフェクトを足しただけである。
しかし…『だけ』とはいえ羽の一枚一枚を再現しつつ空中を漂わせるという、なかなかに面倒かつ魔力の無駄な作業なのだが…侮ることなかれ。このエフェクトにより、より天使っぽさを出すことが出来るのは『天使の力を持っているなら強いよね』と言い訳がしやすくなる状況を作ることに持ってこい、なのである。
『魔力精密操作』のスキルが無ければ出来なかったかもしれないが、俺は自分自身良くやった…と褒めたいくらいである。
まあ、そんなワケで…
バサリ…と金色に輝く三対六枚の翼を広げ、周囲の空間には魔力で造り上げた一枚一枚の羽を舞わせる。
これには国王を含めた全員が驚きを見せる。驚いていないのはシーバスくらいだ。国王は『いろいろ知っている』みたいだったけどコレは知らなかったのん?
伯爵級魔人は…
「天使…だとっ!?………いや、しかし『神気』は感じられない?ならばあのガキは一体…?」
驚いてはいるようだが『神気』とか不穏なことを言っている。フラグになりそうな発言は止めてもらえませんかね?
準備は出来たが、俺はついで…と言わんばかりに結界を展開。周囲に戦闘の余波で被害が出ないようにするためだ。
ちゃんとまともな使い方だろう?…何でシーバスがソレに驚いているんですかね?俺が周囲に気を使わないと思っているのだろうからだけど…あとで小一時間O・HA・NA・SHI、しようか。
「結界まで使いこなす、か…。ガキィ…テメエ、本当に何者だ?」
「ソレを言う必要は無いだろう?」
「………ま、そりゃそうか。これから殺り合おうって言うんだからな…」
………ちっ、全然煽りに乗ってこないな。バカな戦闘狂ではないか…残念。乗ってくれれば攻撃が単調になって楽出来たんだけどな…。
「その天使の姿…魔力で模倣しているだけのようだが………少しは楽しませろよ」
ありゃ…ほんの少しの時間でそこまでバレたか。まあ魔人にバレる分には問題無い。別に『天使化』は戦闘のための準備じゃないからな。
「俺も少しは期待しているよ…お前がどれほど俺の力を引き出せるか、な…」
伯爵級魔人…間違いなく今までで一番の強さだろう…が、正直なところさほど『強さ』には期待していない。コイツの言動を聞いている限りでは戦闘慣れはしていそうなので、勘を取り戻すのには丁度良い相手って感じだ。
「ふんっ、言ってくれるなガキィ…」
「………来い」
そして…
前世…勇者の頃以来の魔人との戦闘が始まる…。
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