第177話 何て言うんだろうね?
木札に書かれている番号が表示され、同時に呼ばれる。椅子から立ち上がり、受付カウンターへと向かう。
「本日はどのような御用件で?」
さすがギルドの受付嬢。こちらの方も総合受付の受付嬢に負けず劣らずの美女である。
そして用件を………用件?
「………………」
しまったな…。俺の用件で『アイアリーゼさんの妹さんに会いたい』だけなんだが、そんなことでギルドマスターを呼んでもらえるだろうか?いや、無理である。
どう考えてもおかしい案件だ…むしろ頭おかしいと思われるまである。
…ど………どどど、どうしよう…。
いかん、二度目の転生をしてから初めて追い詰められた感があるんだが…。何か…何か上手いこと乗り切る方法はないものだろうか…。
俺がこの今さら感のある理由で苦悩していると、シーバスがソッと受付嬢さんに何かを渡す。
「こちらを…」
………手紙?
受付嬢さんはソレを受け取り、表面、裏面と見る。
「っ!?コレはっ!?………少々お待ちください」
裏面を見た受付嬢さんは驚いた顔をして席を立ち、奥へパタパタと走って行った。裏面…てことは封蝋か何かを見たからだろうけれど…俺はソレが何かは知らない。
「シーバス…」
「はっ…アイアリーゼ殿の手紙を預かっておりましたので…」
「そうじゃない…そうじゃないよシーバス!何故、その時に俺を連れていかないんだっ!?」
「そう申されましても…」
シーバスは困った顔をしてはいるが、その裏には『こうした方が面白そう…』という内心が透けている。
この野郎…最近、俺への扱いが雑になってきてない?
「………気のせいです」
目を反らすんじゃない。
しばらく経ち、パタパタとあざとい感じで走ってくる受付嬢さん。カウンターにカードを出してくるが…
「お待たせしてすみません。ギルドマスターがお会いになるそうです。こちらのカードを持って、魔導昇降機へ乗ってください。昇降機前に職員がおりますので説明はそこで受けてください」
なるほど、エレベーターのカードキーみたいな物か…ってエレベーターあるの?意外と進んでるな異世界…知らなかったよ…。
とりあえずカードを受け取り、魔導昇降機とやらへ向かう。職員さんから昇降機使用の説明を聞き、昇降機へ乗り込む。昇降機内の階数の書かれたパネルにカードをかざすと行き先の階数が点灯し、昇降機の扉が閉まり動き出した。
さすがに日本人の頃のエレベーターよりは遅いが、それでもこの異世界ではハイテクである。…ハイテク、とは言わないか。異世界じゃあ何て言うんだろうね…?
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