第178話 デュナメス冒険者ギルド、ギルドマスター
異世界式のエレベーター…魔導昇降機が止まり、目的の五階に到着。扉が開くと目の前に広めの廊下が現れる。
俺たちは昇降機から降り、足を進める。
広い廊下の高級そうな絨毯張りの上をテクテクと歩き、目的の部屋を探す。五階はギルドマスターの部屋しかないはずだから、一部屋一部屋が大分広く作られているのだろう、数部屋分しかドアが見当たらない。
目的の冒険者ギルドマスターの部屋は、その廊下の一番奥にあった。ドアの前に立ち、軽く深呼吸をしてから四回、ドアを叩く。
『どうぞ』
木製の立派なドア越しなので、籠って聞こえるはずの声が、すんなりと俺の耳に入ってくる。
「失礼します」
レバーハンドルを回しドアを開け室内へと足を運ぶ。
室内の奥…窓際に置かれた大きな執務机の向こうに目的の人物………大都市デュナメスの冒険者ギルド、ギルドマスターがいた。
そのプラチナブロンドに輝くストレートショートの髪は細いうなじを隠すように…、全てを見透すかすかのようなサファイアブルーの瞳は、冷淡さを備えた切れ長の目元を四角いレンズのみの眼鏡で覆っている。アイアリーゼさんに似た高い鼻筋に薄い唇、白い肌はラメなんかないのにキラキラと輝いている。
「貴方がユーリウス君ね。初めまして…私はデュナメスの冒険者ギルド、ギルドマスターのミリアリーゼ。姉からいろいろと話は聞いているわ。よろしくね」
ごふっ…俺は心の中で吐血。
アイアリーゼさんと比べ、少し冷たそうな印象なのに、『よろしくね』のところで微笑みながらウインクだとっ!?あざといっ…その美しさであざと過ぎるよミリアリーゼさんっ!?
俺の魅了耐性さんお仕事してぇっ!…あ、俺、魅了耐性スキルだけ無かったわ。
俺は片膝を着き、右手を差し出した。
「結婚してください」
「あら…貴方、姉さんにも求婚しているのでしょう?お誘いは嬉しいのだけれど…」
ウフフ…と笑う姿はアイアリーゼさんに似つつも、その冷淡さを孕んだ切れ長の瞳のせいか、えもいわれぬ妖艶さを醸し出していた。
だ、誰か、俺に魅了耐性さんをくれぇっ!
「大丈夫です。私の愛は等しく…なんならゼハールト家の全てを使って二人を幸せにしま痛だだだだっ!?………何をするのかねシーバス」
「勝手に家を持ち出さないでくださいユーリウス様。あと、そろそろ落ち着いてください…」
「俺は落ち着いている。それより求婚中に俺の二の腕の裏側をつねるんじゃない、痛いだろ…」
「まだ全然落ち着いていないではありませんか…」
シーバスはそう言い、自分の
「やれやれ…借りてきて良かった。ヴァーチェの受付嬢に感謝しないといけませんね」
やれやれ…とか言いながら大きくバックスイングするシーバス。
ソレ、やっぱりヴァーチェの…おいおいおい、そのハリセン…何でか知らんが防御力無視してくるんですけどっ!?結構、痛かったんですけどっ!?シーバスは何で片足上げて一本足で構えているんだっ!?
『スパアアアアンッ!!!』
その謎の音は一階にまで響いたらしい…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます