第153話 カウンターの一撃

「…で、ユーリウスは何しに来たんだ?」


さっきの奴らはアラド君の指示で何処かに連れて行かれた。何処かは知らんが…。

逃げた奴は今度見かけたらぶっ飛ばすことにしよう。

アラド君も俺が絡まれていた理由を聞かないで、何しに来たかを聞く辺り、アラド君のスルースキルが上がっている気がする。もちろんスキル化なんてされてはいないが…。


「ああ…スライムについて聞こうかと思って…。あとアイアリーゼさんに会いに…」


「後半の方が理由として強い気がするのは何でだろうな…」


「………気のせいだ」


うん、俺も今となってはそんな気がしているよ。


「…スライムについて…何て話をわざわざギルマスに聞く奴はいない。おそらくお前以外にはな…」


ツッコミが辛辣だな。ツッコミスキルも上がってるんじゃない?


「そもそも学生で仮冒険者のお前が、受付でギルマスを呼んでも取り次いでなんてくれないぞ?」


………あっ。


「何で今気付いた、みたいなリアクションなんだよ…。当然だろう…」


そ、そそそ、そんなこと知ってたし?分かってたし?


「おい、あからさまに動揺するんじゃない」


…いいよ、じゃあ…。アイアリーゼさんに会えないなら帰るから。


「ふっ、ちょうど手が空いたところだ。スライムのことくらい俺が教えてやるよ」


「お疲れっした…」


「無視っ!?」


そして俺は踵を返す…フリをしてギルドの奥へと走って行く。


「ちょっ、おまっ!?俺を無視したあげくギルマスのトコに行くつもりかっ!?っ~か速えっ!?『瞬動』使っても追い付かないって何っ!?」


フハハハハハッ!!所詮『瞬動』ではその上位の『縮地』には追い付けまいっ!『結界』で壁を作らないだけ優しいと思うがいいっ!って俺が結界魔法を使えるのは知らないか…。

俺はアラド君を引き離し、最上階奥のアイアリーゼさんの部屋へと向かう。


あの角を曲がれば、あとは一直線だ。

俺は角で『縮地』を再起動しようと向きを変え、よしっ、『縮地っ』と思った瞬間、俺の目の前に白い壁…いや、これはっ!?


「何を………やってんですかあぁっ!!」

『スパアァァァンッ!!』


「ぐはあっ!?」


ギルドの受付嬢が何故か巨大なハリセンを力いっぱい振り抜いていた。

『縮地』起動直後の俺に避わすことは出来ず、全力でカウンターのハリセンを顔面に喰らったかたちである。

厚手…とはいえただの紙であるハリセンの一撃は何故か俺の防御力を越え、俺にダメージを与えた。

………どういうことだ。


というかハリセンを持ち込んだ奴っ、絶対日本人だろっ!?

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