第152話 閃光の魔術師
制服姿の子供を相手に絡む冒険者。テーブルを囲んで座っていた六人のうち、五人が立ち上がり、学生を痛めつけようとする。
学生はあっという間に四人を瞬殺。もう一人も学生の右ローキックを左足に喰らい、左膝を着き、右膝を立てている状態である。その状態を見た学生は口角を上げ、ニィ…と邪悪な笑みを浮かべた…。
おい、誰の笑みが邪悪だ。というか俺だ。まあ、いい…。
片膝を着いているその体勢に俺は…
『シャイニングウィザード』
左足で相手の右膝に乗り、右膝を相手の頭部に叩き込む…某有名レスラーの必殺技を叩き込んだ。
『ゴキィッ!!』と音を残し、喰らった冒険者はこめかみ辺りから血を流しながら後ろに倒れた。
「「「おおおぉぉぉ…」」」と周りの見物人たちも声をあげる。おい、学生が絡まれてんのに見物してるとは何事だ。先に助けに入らないもんかね?と思ったりもしたが酔っぱらいの冒険者に言っても無駄だよな…とも思い、余計なことは言わない。
さて、と…。
残りは一人、座っている奴だけなんだが…。
「………………ん?………いねえな」
野郎っ!?逃げやがったなっ!?
くっ…『マップ』でマーキングもしてないし名前も知らないし…。
ちっ…まあ、しょうがない。
コレは逃がしてしまった俺が悪いってことにしておこう。
なので…。
ぶっ倒れているこの五人には酷い目に合ってもらわないとね。
そう考えていると…
「なんて邪悪な笑みなんだ…」
「悪魔の化身みてえだな…」
「アレは絶対、性格悪ぃぞ…」
見物していた冒険者たちが言う。失礼だな…君たち。
とりあえず…
「コイツらの装備は剥いで売っとくか」
「怖っ!?あの学生、怖っ!?」
「………鬼かよ」
ホント失礼だな…君たち。コレは勝者への正当な報酬だよ?
ついでに財布からも有り金全部いただいておく。可哀想なので財布本体は返してやった。
「魔王みたいな学生だな…」
「ああ…喧嘩売ったアイツらが悪ぃんだが…鬼畜かよ」
誰が魔王で鬼畜なんですかね?前世では勇者でしたけど何か?
一人は逃したが残り五人全員の処分を終えたところで後ろから声が掛かる。
「何してんだよ…ユーリウス…」
そこには、はあぁぁ…と大きくため息を漏らしながら
言うアラド君がいた…。
「アラドだ…」
「あの学生、アラドの連れか?」
「A級の連れ…喧嘩を売る相手が悪かったな…」
「風評被害が凄いっ!?」
おっ?アラド君、ツッコミが上手くなったんないか?
「だとしたらお前のせいだけどなっ!?あと君くん呼び止めてくれないっ!?」
冒険者ギルドにアラド君のツッコミが響いた…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます