第151話 チャーンス…
学校帰りに制服のまま冒険者ギルドに寄ったら絡まれた。
うん、なんか今更ながらのイベントに面倒臭さを感じながらも、絡んできた冒険者たちにイラついてもいた。
冒険者たちは座っていたテーブルから立ち上がり、酔ってはいるのだろうが既に臨戦態勢。六人が同じテーブルにいたが立ち上がったのは五人だ。
座ったままの一人は…
「おい、お前ら…子供相手にムキになるな。やるならさっさと終わらせろ…」
とジョッキを呷る。
え?止めるどころか終わらせろ、とか言っちゃってるじゃんこの野郎。
「へっへっ…だとよ」
「んじゃ、さっさとやっちまうか」
イラッ…
「お貴族様の坊っちゃんなんて滅多にボコったり出来ねえからな…」
「どんな泣き声なんだろな…」
イラッ…
「親の名前とか出しちゃうんじゃねえか?」
「後で兵隊とか来ちゃうんじゃねぇか?」
「構うか、そいつらもやっちまえば良いんだ」
「それもそうだな」
イラッ…イラッ…
「おい、やるならさっさとやれ。面倒くせえ奴らが来ちまうだろ」
面倒くせえ奴ら、が誰を指しているのかは知らないがお前は何を偉そうに座ったまま言っちゃってるんだ。
まあ、立ち上がってる奴らも剣を抜かない辺り、最後の一線は越えていないが…それはそれだ。
俺のイライラは既にMAXである。
「へっへっ…少しは抵こ」『ゴッ』「…ぁがっ!?」
「「「っ!?」」」
抵抗してみろ…かな?俺はその言葉を待たずに『瞬動』で間合いを詰め、顔面に拳をめり込ませる。
そのまま頭を掴み、引き寄せながら追撃の膝を叩き込む。
『メキィィッ』
ズルリ…と頭から地面に落ち、両膝を着いた状態でソイツは沈黙した。
「っ!?テメッ…ガキィッ!!」
「っ!?この野郎っ!!」
俺は冷たい目で倒れ込んだ奴から周りの残り四人に視線を移す。
「なんだ?手を出す気だったんだろ?ならやられる覚悟くらい………してるよ、なっ!!」
駄目だな、コイツら…。俺は既に攻撃しているんだぞ?何でまだ俺の間合いにいるんだよ…。
俺は言葉の終わりと同時に一番近い奴に蹴りを放つ。
『ゴッ!!』
良い蹴りが側頭部に入ると、糸が切れたように崩れ落ちる。次…
驚きからか臨戦態勢を取っていたはずなのに、構えが中途半端だ。まあ、ちゃんと構えていたところでお前らにはどうにもならんだろうが…。
『ガツッ!!』
後ろ回し蹴りが顎を打ち抜く。ガクッ…と膝が折れ、正座のような状態になっているが、意識は飛んでいる。
三人目…次、四人………目っ!
『ドスッ!!』
ヒュッ…と瞬動で近付き、そのまま肘を身体に突き刺す。念のため、鳩尾みぞおちは外してやった。危ないからね。
………次。
さすがに五人目は構えたね。
そのまま右拳を振るってくるがスッと避わして右ローキック。左足に『ビシィッ!』と決まり、左膝を着く。
そうすると右膝は立っている状態なワケだが…チャーンス…。
俺はニヤリ…と口角を上げる。
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