第149話 スライム?

「なるほど、軽さと硬さか…それに色。軽さに関しては革素材は良いと思うが…」


グラム商会の百貨店でもらった紹介状を携えて、職人街と呼ばれている区画へ赴き、ドワーフの親方がいる工房へ足を運んだ。


早速、こんな素材が欲しいのだが…と相談を持ち掛けたのだが…


「ワイバーンを素材に選ぶ辺り、目の付け所は良いと思う。…が着色はちょっと無理だな」


あ、そうですか…。何か他に良さそうな素材在りませんかね?


「そうだな…素材をそのまま使おうとするから駄目であって、加工は考えてないのか?」


…加工?いや、形は整えますけど…。


「いや、そっちじゃねえ。着色って手段は考えたんだろ?なら硬くするのに薬品とかを使って…とかは思いつかなかったか?」


………あ。


…そうか、そういう手段もあるか。何で思いつかなかったのだろう…。それに俺には錬金術という手もある。

うん、なんか一気にいろいろ出来そうな気がしてきた。


「助言にはなったようだな…」


はい。ただ適した素材がまだ思いつかないですけどね。


「そうだな………可能性が在りそうなのは竜の素材かスライム…かな?」


…スライム?


「スライム素材は優秀だぞ?意外に伸びるし、意外に破れないし、防水性高いし、硬さ…はちょっと分からんが…」


…へえ。聞いている限りでも優秀だな。ゴム製品とか出来そうなんだけど…?

…ん?でもあまり出回ってないですよねスライム素材…。


「そうだ。討伐難度は低いが、素材の回収となると途端に難易度が跳ね上がる。そして素材として優秀だから市場に出づらく、出たとしても高いんだ」


…なるほど。

俺は脳内で『無限収納』の中身を確認するが…無いな、スライム。


「…でお前さんの欲しい素材は白いのだろ?たしか白いスライムはかなりレアだった気が…」


そういえば白いスライムなんて見たことないな。俺は『マップ』を起動させてスライムを検索、さらに『白』に絞ると一匹もマップ内にはいなかった。

今までの俺の行動範囲に限っての話だが…。


白いスライムの出現場所とか心当たりって在りませんかね?


「無いな。俺が扱うのは基本鉱石類だしな」


そうだ、ここ武器の工房だった。


「スライムの情報ならそうだな…服飾職人とか薬師、あとはやっぱり冒険者ギルドじゃないか?」


まあ、その辺あたりだろうなと俺も思った場所だ。ちょっと回って聞いてみるか…。


かなり役に立つお話が聞けました。ありがとうございます。


「なに、気にするな。グラム商会長には世話になってるからなっ!役に立てるかは分からんが、また来ると良い」


はい、何かあれば寄らせてもらいます。


俺はもう一度お礼を述べて、工房を後にした。今日はもう一軒…は無理かな。

俺のエアコンへの道のりはまだ遠いようだ。

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