第148話 アドバイスを求めて
軽くて丈夫な素材。
この世界でソレが必要な物…というと革製の軽鎧か?…しかし革をエアコンのカバー?………ちょっと想像出来ない。
これは日本人の頃のイメージが残ってしまっている弊害かな。「エアコンはこういう物だ」という常識に捕らわれてしまっている。
う~~~ん………悩む。
とりあえずプラスチック?FRP?のイメージを頭から消して、魔物素材を探す。それに近い物が見つかればバスタブとしても利用出来るかもしれない。
今の大浴場的な風呂も良いのだが、バスタブを別にした個室的な風呂も欲しいからな。
一番良さそうな物はワイバーンの翼だった。軽く、それなりに硬い。…がやはりイメージが先行してしまうのか、何か違うな…と思ってしまう。
多分、ワイバーンの翼の色がイメージ的に問題なのだろうと思う。
色を基準に素材を探すと、今度は軽さはともかく硬さというか強度に問題が残る。色もイメージには若干届いていない。
う~~~ん、軽さ、硬さ、色、の全てを満たす素材は難しいか…。そうなるといよいよ龍(竜)の骨を加工するのが早いな、となってしまうのだが…。
よし、ここはプロにアドバイスを求めよう。素材を扱うプロ…例えば武器防具屋とか、着色するような服屋とかなら良いアドバイスがもらえるかもしれない。
俺はひとまずエアコン造りを中断して、翌日グラム商会の百貨店に訪れることに決めた。
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翌日、学校へ行き、午後の授業後に百貨店を訪れる。
「こちらは販売と仕入れだけなので、職人はいませんよ?」
顔見知りの百貨店の副店長さんに話を聞くと、そう言われた。
そりゃそうだ。デパ地下の惣菜売り場じゃないんだからバックヤードで作って売る、みたいなことはしてないよな。
まあ、そんなことは想定内である。ホントだよ?
「職人さんに話を聞きたいのでグラム商会から紹介状みたいなのっていただけませんかね?」
「まあ、お世話になってるユーリウス様ですから紹介状は準備しますけど…会長には話してないんですか?」
「商会長交ぜると面倒なので」
「あはは、それはしょうがないですね。とりあえず用意してまいりますので少々お待ちください」
「お願いします」
こうして紹介状を用意してもらい、俺は百貨店を後にする。
紹介状には簡単な地図を付けてくれたので、それを頼りに職人さんを回ろう。
トンテンカントンテンカン…と金属を叩くような音がそこら中で響く、ヴァーチェ領内でも外側に位置する通称『職人街』とか『工業区』とか呼ばれている場所に来る。
この区画には亜人差別が在るなかでも差別が少なく認められている種族『ドワーフ』や『ノーム』の人たちが多く働いている。
さて…
紹介状のドワーフ職人は何処の工房にいるのかな…。
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