第138話 前提に…。
応接室へ向かう。
応接室は大きめの長方形のローテーブルが中央に置いてあり、長い方の辺に三人掛けのソファー、短い方の辺に一人掛けのソファーが二脚ずつ挟み込むように配置されている。
冒険者とエルフのお姉さんは三人掛けのソファーに座っていたので俺は…
「おい、お前が何故ソコに座る…」
エルフのお姉さんの向かいに座った。冒険者が何か言っているが聞こえないし、知らない。寧ろ、お前こそ、そこちょっと代われ!と言いたい…。
「ウフフ…別に良いじゃない」
「そうだ、そうだ」
「はあ…いや、もういい。話が進まん…」
やれやれ…と頭を振る冒険者。やれやれとしたいのは俺の方だ。休日に自宅に強襲してきやがって、エルフのお姉さんを連れて………ありがとうございます。
「まずは自己紹介が先だな。俺はアラド…ヴァーチェの冒険者ギルドに所属する一応A級冒険者だ。こっちは…」
「自己紹介くらい自分でするわよ。私はアイアリーゼ…一応、ヴァーチェの冒険者ギルドでギルドマスターをしているわ」
冒険者…アラドはA級冒険者だったようだ。アンタA級だったの?なのに自分より俺の方が強いとか言っちゃってたけど、それで良いのか?
それとエルフのお姉さん…アイアリーゼさんはなんと、というかやはり、というかギルドマスターだった。
まあ、アラドが何の用があるのか知らないが、それで下の奴を連れてくるってことはないよな。イコール上の者だろうと予想はしていたけど、こんな綺麗なエルフのお姉さんがギルドマスターだったとは…。
…おっと、ではこちらも自己紹介をしないとな。
「ご存知かと思いますが改めて…。私はユーリウス=フォン=ゼハールト。ゼハールト家の五男で学生です。…で、アイアリーゼさん…素敵なお名前ですね。改めて、結婚を前提にお付き合『ゴンッ』痛っ………何をする?」
求婚中にアラドが『瞬動』からのげんこつを俺の頭に落とす。痛い…。
「何をする?…は俺の台詞だっ!はあ…話が進まん」
「ウフフ…折角の求婚中に無粋じゃないかしら、アラド?」
「アンタも何言ってんだっ!?まったく…」
「少しくらい良いじゃない?ねえ、ユーリウス君?」
「その通りですね、アイアリーゼさん」
「お前ら…」
まあ、このままだと話はまったく進まないけどな…。仕方ない、お茶でも淹れようか…。
「お茶でも淹れましょう。アイアリーゼさんは紅茶でよろしいですか?」
「あら?ユーリウス君自ら淹れてくれるのかしら?」
「もちろんです。良い茶葉が有りますので」
「じゃあお願いしようかしら」
「………………おかしいな。俺が口を挟まない方がスムーズに見えるのは何故だろう?………しかし肝心なことは一切、何も進んでいないんだが…」
こうして俺とアイアリーゼさんはお茶を楽しむことにする。………アラド?聞いたことあるような気がするけど、多分知らない子ですね。
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