第128話 ゴブリン迷宮 一階層

「次っ、あの角から二体っ」

「「「了解っ!!!」」」


「弓っ、牽制っ!盾っ、一体押さえてっ!」

「「任せろっ!!」」


「前衛は一体ずつ頼む。俺は後方だ」

「了解っ!」


「魔力練っといて、前の奥にもう一体いる。姿を見せたら撃って!」

「分かったっ!」


「回復は大丈夫そうだから待機。二体目三体目に抜かれたら前衛に防御力上昇を!」

「う、うん!」


俺はパーティー全員に指示を飛ばし、後方から接近してくるゴブリン三体に向かう。

手前二体を過ぎ、一番奥にいたゴブリンを蹴り飛ばし、振り返ろうとしている二体に…


「遅え…」


頭を鷲掴みにして、地面に叩きつける!はい、終わりっ!

前方を見ると仲間たちは無事ゴブリン三体を倒したようだ。


俺が倒したのも合わせて、六体のゴブリンが小さな魔石を残して『ボシュッ』と煙のような塵のような感じに消滅する。


「よし、魔石拾ってサクサク進もうか」


「お…おう」

「いや、マジで素手で倒してるし…」

「装備が制服だけって…」

「さすがというか…」

「なんというか…」


細けえこたぁいいんだよっ!ほら、進むぞっ!と俺は前進を促す。………装備に関しての説明が面倒とも言うが…。


現れたゴブリンは同行しているもう一つのパーティーと交互に対応する。

もう一つのパーティーも冒険科に所属し冒険者を目指すだけあって、戦闘に不馴れ…ということはないが、やはり拙さも見られる。

現状、最弱の魔物であるゴブリンが相手だから助かっている、と言わざるをえないか…。


ウチの方は俺が指示出しと後方警戒をしているため、比較的楽に終わらせられている。連携こそ拙さがあるが、前方のみに専念出来ているのが大きな理由かな。


五組十パーティーも一斉に(と言っても十分おきだが)迷宮入ったので、他のパーティーとかち合うかとも思ったが今のところはソレもない。

他のパーティーも比較的順調に進んでいるのだろう。


ちなみに俺の装備だが、実は持ってはいる。もちろん前世からの引き継ぎで『アイテムボックス』に入っていた物だ。

魔王との最終決戦時に装備していた最強装備…の前に使っていた武具が入りっぱなしだったのだか、最強装備には一歩劣るものの、かなり強力な物だったりする。

詳しくは伏せるが、これらを使う時はよっぽどの時なので、使わないことを祈るばかりである。


さて初心者用と言いながら中々に広い迷宮を進み、一階層のボス部屋に到着。

他のパーティーもおり、どうやら待機中のようだ。


…で、ここではボス部屋に挑戦するのは一パーティーのみ。クリア後に扉が開いたら、同組のパーティーは即挑戦。別の組なら十分待って挑戦、というルールのようだ。

もちろん、この課外活動中のみの話である。


さて…俺はどう動こうかな…。

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