第127話 ダンジョンアタック!
あぁ、痛かった。
俺はサスサスと両こめかみを擦っていると、ガシッと講師の冒険者が肩を組んでくる。
何だこのやろー。
「お前…強えだろ…?多分、俺たち冒険者を含めて、お前がこの中で一番…」
ん"ん"ん"…?
「ステータスも…視れるってことは『隠蔽』じゃなくて『偽装』しているんだろ?…ってことはかなりの力を持っているはずだ」
何が言いたい?というような訝しげな目を俺は向けるが、冒険者は何も気にせず…
「迷宮は何が起こるか分からん…例え初級のこの迷宮でも…な。イレギュラーが起こった時、ウチの冒険者たちで手に負えなさそうなら頼めないか…?」
冒険者は先ほどとは違い、真剣な目を真っ直ぐに俺に向ける。
ちっ…そんな目で言われたら断れないじゃないか…。
「まあ、その時は俺がやっても良いけど…アンタは?アンタもまあまあやるだろ?」
「俺は今回、監督役だからな…ここから動けん。さっきもちょっと言ったがウチの奴らを各パーティーに一人付けるが…な」
自分が動けないのは歯痒いだろうに、まだ学生の…それも一年生に頼むなんて…。この人はプライドよりも『実』をとる人なんだな。
ま、そのくらいは動くさ…俺もクラスメイトに被害が出るのは嫌だからな。
でも、わざわざフラグ建てんのは止めてもらえませんかね?
そして俺たちも迷宮へと…
「あ、迷宮へは二パーティーずつ、十分おきに入るからな。お前のパーティーは最後だ」
先に言ってくれませんかねっ!?
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「よぉーし、次っ!ラストだな。気を付けて行ってこいっ!」
「「「はいっ!!!」」」
「「「行ってきますっ!!!」」」
二パーティーずつ、五組が
俺たち…最後の組は最初の二パーティーが入ってから四十分差で迷宮の第一階層に足を踏み入れた。
通常『ゴブリン迷宮』。
洞窟型のその迷宮は全五階層からなる、冒険者ギルドからは初心者用の迷宮ダンジョンと位置付けられている。
言っても最下層のボスは初心者には間違っても倒せないが…。
十分おき…という短い間隔では、先に入ったパーティーが全部終わらせそうなもんだが、この迷宮は初心者用のわりにはかなり広く、探索に時間が掛かることに加え、ゴブリンという低級の魔物しか出ないためなのか、十分ほどでリポップするという特性を持っている。
経験値稼ぎには持ってこいな反面、手こずったりしていると後ろから挟撃される危険性も伴っていたりする。
『上層』とされている一階層~三階層では、そんなことは少ないだろうが、『中層』『下層』では例えゴブリンでも油断出来ない辺り、『迷宮』と呼ばれるに相応しいと思われる。
さて…
講師の人が盛大にフラグを建ててくれたけれど…
果たして…。
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