第123話 作ってもらおうか…
「武器防具は使い手を選ぶ…どういう意味か分かるかい?」
ニヤリ…と意地の悪そうな笑みを見せるグラム商会長。刻まれた深いシワが百戦錬磨の商人の顔を物語る。
クラスメイトたちは何かを感じとったのか、暫くの沈黙のあと…
「………『ちゃんと』教えていただけますか?」
「どういう『意味』なのかを?」
真剣な眼差しを向け、商会長に問う。
「良いクラスメイトじゃないか!なあユーリウス!」
バンバンと俺の背中を叩く商会長。………痛いんですけど?
「当たり前のことだが高価な物の方が性能が高い。安ければ性能はその分落ちる」
コクリ…と頷くクラスメイトたち…。
「高い武器防具を装備して楽に安心して勝てるのと安い武器防具を装備して苦労しながら勝つ。どちらが後々伸びると思う?」
「「「………………」」」
「個人差はあると思うがな…苦労した分は間違いなく糧になる。楽をした方はいずれ格上と相対した時に抵抗する術すらなく負けてきたのを儂は見てきた。使い手を選ぶ…と言うのは、その武具を持つに相応しい技術やレベルを持て、と言うことじゃな」
「「「………………」」」
最後はニカリ、と好好爺を思わせる笑みを向けた。………がクラスメイトたちは商会長の言葉にしっかり何かを感じたようだ。
………でもそれ…義祖父さんが言ってなかったっけ?
俺が隣の商会長にジト目を向けると、笑って誤魔化したのは言うまでもない。
「「「ごちそうさまでしたっ!!!」」」
飲食代は全員分商会長が持ってくれた。ゴチになります。
「ああ、気にしないでくれ。せっかくユーリウスのクラスメイトに会ったんじゃ。これからもユーリウスを頼んだ」
「「「頼まれましたっ!!!」」」
「頼まれんなっ!?商会長も止めてくれ…」
マジで義祖父さんがもう一人いるみたいだ…。
商会長は本店に戻り、俺たちもここで解散だ。
「良い話、聞けたねぇ」
「そうだな。講師の冒険者の先輩も教えてくれたら良かったのに…」
「まあ、貴族出身の奴もいるし、その辺りは触れられないんじゃね?」
「そうかもね」
「メイドさん………素晴らしかった」
「だな」
「それな」
クラスメイトたちも、いろんな感想を持ったようで何よりです。
あと最後の方の奴らはちゃんと話、聞いてた?
そして俺はと言うと…
「新しく入った猫人族の娘、可愛かったな…。今度、商会長に猫耳カチューシャを作ってもらおうか…」
とまったく関係の無いことを考えていたのは内緒である。
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