第120話 棘棘しいんですけどっ!?

グラム総合百貨店…今やエクシア王国で一、二を争う大商会へと成長したグラム商会。その本店に冒険科の生徒たちと武器防具を見に来ているワケだが…。


冒険科の生徒は当然ではあるが将来冒険者を目指している者が多い。その中の多数は平民だが、中には貴族の三男四男がいたり、女子の貴族出身者も少なくない。


三男四男は家督を継ぐことはあまり無く、騎士や魔術師を目指す者も多い。中には領主の子だったりすれば仕事にありつけるのだが、そんなのは少数もいいところだ。

出身が貴族である、というだけで給金を高く見られがちなので一般に雇い入れる所も少ないため、残された道として冒険者になるワケだ。

冒険者で成功すれば貴族当主相当の扱いに成ることも無くは無いからな。


女子は長女次女なら貴族の跡取りとの婚姻などの可能性が有るが三女四女となるとその可能性すらさらに低くなる。

未だ男尊女卑の感があるこの世界では女性の登用、雇用は少なく、男性より若干魔力量が多い傾向から魔術師はともかく騎士に成れる者は少ない。

残された道は側室、妾、冒険者、と思った以上に選択肢は狭く、三男以降の男子より厳しい状況だったりする。


まあ、ヴァーチェだけで言えば、グラム商会の雇用増加もあり、あぶれている人は他の街よりは大分少ないみたいだけど…。


そして話は戻り、グラム総合百貨店本店内…。


男子は武器コーナーへ。女子は防具コーナーへと見事に分かれる。

そして俺は…


「ねえねえユーリウス君。このプレートアーマー………どうかな?」


「ああ~~~レベルが低いうちは筋力値も低いから、重くない方が良いんじゃないかな…」


「ねえねえユーリウス君。この大盾………どうかな?」


「ああ~~~自分の体格考慮して、もう少し取り回しが利く方が良いんじゃないかな…」


「ねえねえユーリウス君。このガントレット………可愛いくない?」


「棘棘しいんですけどっ!?」


キャイキャイと試着を繰り返しては意見も求められる…そんな女子が多数押し寄せてる防具コーナーにいた…いや、連れてこられていた。


別に頼られるのは良いんだ…良いんだけど………精神年齢だけなら高い俺が、身体年齢が一緒なだけの女子に囲まれても、全然嬉しくない…。

俺は…俺はもっとこう…大人な感じの女性が良いのだっ!

いや、可愛いとは思うよ?でもそれは、こう…アレだ、おじいちゃんが孫を可愛いと言っているような感じ?だからっ!

まあ、前世でも前々世でも孫はおろか子もいなかったけどさ…。………あ、ちょっと泣きたくなってきた。

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