第112話 十二歳!

色々な問題を力ずくで解決しつつ、義祖父さんの協力を得てからはレベリングも概ね力ずく。

グラム商会へのアイデア料で家自体の財政も潤っており、男爵家としては破格の収入がある。お蔭で…と言っても元は俺のアイデアなのだが…お小遣いにも困ってはいない。


家族仲もどんどんと良くなり、レイラ母さん、ライラ義母さんの両祖父母、父さんの祖母とも会う機会があったりしたが概ね良好な関係だと思う。

ただし、長兄エリウスと長女アイラの二人の再教育は遅々として進まず、意識を変えられないまま再び首都へと返してしまった。在籍する国立大学の休みが終わってしまったのでは仕方がない。


そして、比較的穏やかに時は進む…。


………が。


しかし…


小学校は貴族の子弟は免除、という期間は終わり十三歳になる年の春…満十二歳になった俺は、中学校に入学というイベントの時期を向かえていた。


セイ兄は俺と入れ替わりで高校へ進学。義兄義姉たちは大学在籍中だったり大学進学だったり進級試験だったりとバタバタしているようだ。

レイナは健やかに育ち、母さん似の美人さんになるだろうと思われる。義祖父さんがだだ甘だが、そろそろ嫌がられるのでは…と密かにその時を楽しみに待っているのは内緒だ。


前に企画した共同浴場の事業計画は大当たりした。グラム商会はさらに大きくなり、ヴァーチェの街では東西南北のそれぞれのエリアにも共同浴場をオープンし、次は首都に進出だ!とグラム商会長が息巻いていた。既に土地の選定を始めているらしい。

併せて亜人、獣人専用の浴場もヴァーチェではオープン。長い毛が避けられる理由だったのだが、その浴場には同じ獣人を雇うことで解決。まだ一ヶ所だけだが大盛況とのこと。

雇用も増え、浴場目当てで集まる獣人の冒険者たちで冒険者ギルドも潤っているようで、ギルドでも獣人の雇用を増やしているようだ。


冒険者が増えると魔物素材などが集まり、魔物素材が増えると経済が回り出す。経済が回ると商人が動き、さらに商人ギルドも動き出す。

仕事が増え、失業者が減り、孤児が減り、スラム街が減り、ヴァーチェは未曽有の好景気を迎えていた。


景気が良いとさらに人口が増え、薄利多売へと形態を移行したグラム商会が潤い、それはゼハールト家が潤うことに繋がっている。

ついでにヴァーチェの税収も増え、治めている公爵もウハウハ、ゼハールト家当主の覚えも大分良いようだ。


ちなみに悪徳貴族や潜んでいた闇ギルドは夜な夜な俺と義祖父さんとシーバスで潰し回ったりしていたので、ヴァーチェの治安は大分良くなったりしている。


恨みを持つ奴?いないよ?だって潰す時は心底恐怖を叩き込むもの。

しかし悪者どもを潰している時の義祖父さんとシーバスは過去の自分たちの行いを覚えているのだろうか?

いや、どうせ…


「過去は過去じゃろう」

「過去は過去でこざいます」


とか言うに決まっている。聞くだけ無駄だろうな…。


しかし元気なジジイたちである。

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