第111話 向き合って

「そうか…それで…」


どうして長兄エリウスをぶっ飛ばし、長女アイラの執事を蹴っ飛ばしたのかは説明して分かってくれたようだ。

まあ、信じてくれなかったらさすがに泣きそうになるが…。


「ユーリウス…すまないね」

「ユーリウス…ごめんなさいね」


父さんとマイア義母さんが頭を下げる。父さんはともかく、マイア義母さんが頭を下げるとは思っていなかった。

いや、最近のマイア義母さんならそれも無くはない、か…。さっきもレイラ母さんの前に立ち、守ってくれようとしていたもんな…。

それはライラ義母さんも、だが…。


そんな嬉しい変化がありつつも、未だ変化がなかった二人。

長兄エリウスと長女アイラ。


「僕たちが…僕がこっちに来てからあの二人には何もしていなかったから…」

「あなた…それは二人が産まれてから、そのような教育をしてしまった私に原因が…」


「しかし僕も、ソレを止めなかった…」

「でも…」


お互いに自分に責がある、ではなく…二人がこれからどうするか、を考えれば良いんじゃないかな。


「「ユーリウス…」」


ま、それはそれとして…。

おいっ、そこで菓子食ってる義祖父さん…元を辿ると概ね義祖父さんが悪いと思うんだが?何、「え?儂?」みたいな顔してんの?本気ビンタ喰らいたいの?


「待て待て待てっ!?今のユーリウスのレベルで本気の平手打ちなんぞ喰らったら、頭が吹き飛ぶわっ!」


じゃあ、どうするか…ちゃんと考えてくれる?


「分かった分かったっ!だから腕を振りかぶるなっ!」


ちっ…しょうがない。ちゃんと考えてね。


「舌打ちしたっ!?今、舌打ちしたよなっ!?」


「まあまあお父様…私もちゃんとあの二人に向き合ってお手伝いしますから…」

「お義父さん、僕も手伝いますので…」


じゃあ、みんなでよろしくね。俺は多分…しばらく顔を会わせない方が良いと思うからさ…。

ちょっと旅にでも「それは駄目だよ」はい…。


「とりあえず二人のことはこれから何とかするとして、遅くなったけど夕飯にしようか」

「そうね、そうしましょうか」

「そうじゃな。ユーリウス…儂、カレーが食いたい」


えっ?今からカレーは、俺も食いたいけどスパイスから作ったら時間が掛かるから無理!


「そうか…」


しょうがない、カレーは明日な。


「おう、頼む!」


ホントに義祖父さんはテキトーになったな…。二人のこと、任せて大丈夫か?


ひとまず…だけど、強襲してきた長兄長女の問題はこれで落ち着いた。

しかし…

こんな問題だらけの二人でもやっていけてる首都…差別が激しそうで嫌だな。


そんなことを思いつつ、時は進む…。

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