第110話 乱入者!

長兄エリウスをぶっ飛ばし、長女アイラをビビらせ散らした俺ことユーリウス。

もう終わりかな…と思ったのだが、どっこいそんなことは全然なかった。


「よくもエリウス様をぉっ!」

「アイラお嬢様から離れろぉっ!」


「あ、あなたたちっ!?」


突然現れた二人。

鑑定結果ではメイド姿の若い女性がエリウスの専属、執事姿の若い男性がアイラの専属で二人ともが短剣術やら隠れ身やら斥候系のスキルを持っている。

二人は首都で雇われた人間のようだが、どうやらそれぞれの主に心酔しているようだ。


まあ、だから何?って話なんだけど…。


それに突然現れた…と言っても家族のうち半分は気付いてたぞ?特にセイ兄なんかは魔法タイプだが探知も抜群に上手くなったからな。

俺?

俺には『マップ』があるから、最初から知ってたよ?だってエントランスホールにいる人数とマップに移ってる人数に差異があったからね。


レベルは主の二人より上。斥候系らしくスピードはあるが…『瞬動』…パシッとメイドの短剣を持つ腕を掴み、ソレを支点に後ろ回し蹴りを執事にお見舞いする。


『バキィッ!』

「うぐぅっ!?」

「なっ!?」


ズサァ…と音をあげながら倒れこむ執事に、驚きで一瞬動きが止まるメイド。

メイドさんは「くっ…」と言いながら距離を取り、執事さんにはアイラが駆け寄る。


そして誰だ?「メイドの腕を支点にしたぁっ!?」とか「俺を踏み台にしたぁっ!?」みたいに言った奴は?

家の使用人に転移者とか転生者はいないはずなんだけど…。


「メイドさん…俺は老若男女問わずローキックをお見舞いする男だけど子供と女性は一回は見逃す。………次は無い」


「うっ…」


俺の言葉にたじろぐメイドさん。元が目が鋭いきつめの美人さんなので、その姿はちょっと可愛い。

あと「鬼畜か…」とか後ろの方で言ってる奴は許さん。


さて…そろそろ終わりかな。


それは俺が…ではなく、もう一人の乱入者によってもたらされる。俺のスキルがそう言っている。

何処かのエリート隊員のような台詞を心の中で吐いていると…もう一人の乱入者が入ってくる。


「ただいま………って、何だいこれは?」


「「「アリウス…」」」

「「「父さん…(お父様…)」」」


ゼハールト男爵家当主、アリウス=フォン=ゼハールト…我らがお父様である。


「えっ?何でユーリウスは光の翼が生えてるの?アレ?二人とも首都から帰ってたの?」


何も知らない父さんには混乱しかなかった。…があとは父さんに任せようかな。

俺はスマートに自室に去「ユーリウス、ちょっと待とうか」「はいっ!」


「説明………してくれる?」


俺のせいっぽくなっているのは何故か?………解せぬ。

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