二度目の転生は傍若無人に～元勇者ですが二度目『も』クズ貴族に囲まれていてイラッとしたのでチート無双します～

第108話 ユーリウスVSエリウス④

「ハア…ハア…喰らうがいい、我が義弟を騙る『使徒』の偽物よ…我が最大最強の技をっ！！」

自身の剣に魔力を込め、突進するぞっ！と言わんばかりに構える我が義兄エリウス。

「はぁぁあああっ！！」

枯渇寸前の残りの魔力を身体強化に回しているのだろう、裂帛の気合を見せる。

いや、あんた、さっき「うおおおぉぉぉっ！！」とか言って気合い入れてたじゃん…もう一回かよ。

………これも待たなきゃダメ？

気合いの叫びが止まる。身体強化が終わったのか魔力が失くなったのかは分からないが…『ギンッ』と俺に向ける視線を強める。

「『閃紅烈突（スカーレットストライク）』っ！！」

『ズドンッ！』

ルビィィィィッ！？

何で横文字にしたぁっ！？さっきのは横文字じゃなかったじゃんっ！？

………まさか、俺の油断を誘うため…か？

そんなしょうもないことを思っていながらも、義兄の動きからは目を離さない。

爆発するような音を響かせながらの高速の突撃刺突技。

魔力を込められた剣は紅い光の帯を曳き、一直線に俺に迫る。

「これでぇっ！！終わりだあああぁぁっ！！」

しかし何なんだろうか、この義兄の最終決戦感は…？何故、義弟に対してそんなに殺意が高いのか…。あんた、最初は痛い目に～ぐらいだったよね？

まあ、別にいいけどさ…。

いや…ちょっと待てよ。前世の対魔王との最終決戦の時の俺って…もしかしてあんな感じだった…？

必死過ぎてその辺りはあまり覚えていないし、その後すぐに死んじゃったけど…。

い、いいい、いかん。あんな感じだったなら死ぬほど恥ずかしいぞっ！？

ぐぬぬぬぬぬ…。

そんな高速で迫る刺突に俺は前世のことを考えて、内心悶えていた。というか、そんな思考が可能なほど遅いんだよなぁ…。

ま、そろそろ、終わらそうか…。

「おおおぉぉおっ！！」

紅の光が俺の眼前にまで迫る…だがそこまでだ。

『パシッ』

俺は真剣白羽取りの要領でソレを両手のひらで挟み止める。

「なっ！？」

「そんなっ！？」

驚いたのは義兄だけでなく義姉もだ。

それは、剣を止めただけでなく、突進技を受けているのに一歩も下がっていないから、ということもあるだろう。

義兄の半分…は言い過ぎだが、俺の体格は義兄と比べたら、まだそれほど小さいのだ。

だってまだ十歳になってもいないのだから…。

だから…

だからとりあえず、うちの家族は「「「おおおぉぉっ…」」」って言いながら拍手するのは止めてあげてくれないかな？