第60話 確信を!
「ユーリウスはおるかぁっ!!」
「喧しいわっ馬鹿もんがあっ!!」
唐揚げパーティー?の翌日、グラム商会長がゼハールト家に突撃してきた。
うるせぇ…と思って二階の自室からエントランスホールに行くと玄関の扉を開け放ったまま、グラム商会長とうちの義祖父さんがお互いにパンチを放ったのだろう、クロスカウンターの状態で相討ちになっていた。
「フッ…衰えてないなマリウス…」
「貴様こそな…ケイビル…」
二人は何か一言残した後、ドサリ…とダブルノックダウン。一体何処の熱血バトル漫画だ…。
「シーバス」
「はっ」
「捨てといて」
「はっ」
「捨てるなぁっ!?」
「シーバスっ、お前も『はっ』じゃないっ!了承するなっ!?」
やはり俺の周りに肉弾戦が得意なオッサンが多いのは間違っている…。
グラム商会長を応接室に通して、シーバスが紅茶をいれる。
よくそんな高いところからいれられるよね。俺ならびちゃびちゃはねる自信があるわ…。
ちなみに義祖父さんは同席していない。…いないのかよっ!?
「…でグラム商会長は何用で?」
「何用もなにも昨日の件だ。教会との話を纏めてきた」
早っ!?そんな直ぐ纏められたの?顔に出ていたのか…
「野菜スティックで一発だった…」とのこと。それに教会としても収入が増えるのはありがたいらしい。
「でだ。マヨネーズに合う料理だが…」
「あぁ…すみません、昨日夕食に食材使っちゃって今は作れませんね…」
正確にはもも肉だけなので他の部位のモノなら作れるのだが…。
例えばむね肉を使ったチキンカツとか。でもチキンカツならマヨよりタルタルだよなぁ…。
「ふむ…ならこれからうちの商会に来て作ってくれ。俺にもう一度、確信させてほしい」
グラム商会長の目の光が強い。…本気、か…。
なら…
「シーバス…昨日の手順は覚えているな?」
「はっ」
「よし、外出の準備を」
「かしこまりました」
そして連日のグラム商会訪問へ。
今回も義祖父さんはおらず、代わりではないがうちの料理長エルディアに同行してもらった。
唐揚げ作りの再確認のためと帰る前の食材の買い出しのためである。
買い出しは本来ならグラム商会で全て済むのだが、今買うと何を作るのか勘繰られるし、あと単純に俺が商業区を見て回りたいのだ。
商会の従業員用の休憩室に集まり、唐揚げ作り開始である。
唐揚げはエルディアが、マヨネーズはシーバスが担当している。
俺は見ているだけだ。
グラム商会長は俺が口出ししないからちょっと不安そうにしているが、大丈夫ですよ、ちゃんと見てるから。違ったら口出しますんで…と言い含めた。
そしてグラム商会の一室に、油を熱した音と鶏肉を揚げる匂いが漂い、拡がっていく…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます