第59話 いざっ、実食っ!

夕飯用に唐揚げの下準備を済ませ、試食用に三個だけ揚げてみた。

試食するのは俺とシーバス、エルディアの三人。…では………いざっ、実食っ!


「モグ………『カァッ』…モグモグモグモグ」

「モグ………こりゃ美味えっ!」


二人には好評のようだ。

シーバスは目見開いて食べるのやめような。あとこの試食はマヨとの相性確認もするんだぞ?何、食べきっちゃってんの?

比べてエルディアは唐揚げ一口食べたあと、確りとマヨを浸けて食べていた。さすが料理人ってとこだな…。


「なるほど…これは相性が良い。いくらでも食べれそうだ…」


何て言っているが唐揚げとマヨ…カロリーヤバいぞっ?


俺はというと揚げたても良いのだが、猫舌なのでちょっと待っていたりする。そしてシーバス…エルディアの感想を聞いて「しまったっ!」って顔しても俺のはやらんぞ。大人しく夕飯まで待つがいい。


ほんの少し時間をおいて俺も唐揚げを一口パクリ。


「あつ………ハフハフ…」


若干パサついてる…か?あとやはりというか…微妙にワインの風味が残ってる…かな?もう少しニンニクとショウガを多めにすればワインの風味は飛ばせるだろうか…。

あと………そもそもこの肉、鶏なのか?鳥なのは間違いないのだろうけど若干違う気がする。

まあ、これはこれでアリっちゃあアリ…かな?


続けてマヨを浸けてパクリ。


うん、美味い。多少のパサつきもマヨで良い感じに隠せる。柑橘系果汁の風味が、残っていたワイン風味を消して…より上書きかな?ちょうど良い感じになっている。


「ちょっと実験に近かったけど………概ね、成功…かな?」


「あぁっ!これは美味い。知らない調味料に知らない調理法だから心配だったが…とにかく美味い!」


ゼハールト家料理人エルディアも満足のようだ。………そこで四つん這いになってるシーバスは放っておこう。マヨ浸けないで食べきっちゃったのがそんなショックだったか?まあ、自業自得だ。


この後の夕食にはエルディアが張り切り過ぎて、買ってきていた鶏肉を全て唐揚げにしてしまったのだが、その山盛りに作られた唐揚げはマヨ効果と相まって大好評。全て食べ尽くされたことを報告しておこう。

もちろん家族だけで…ではなく使用人たちも含めての話だ。

そして一番パクついていたのはシーバスと義祖父さんの二人だった。…歳を考えろ、歳を。


久しぶりに食べた唐揚げ(マヨ浸き)に大満足の俺は、実に穏やか寝顔をしていたと言う。


そして翌日…。


グラム商会長がゼハールト家に突撃してきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る