第52話 やはり俺の…間違っている!完

「卵と植物油と酢?ですか…」


マヨを作るため、そしてその材料を手に入れるため、俺はヴァーチェの商業区、その中のグラム商会にお邪魔している。

店舗に入り、店員さんは俺たちがゼハールト家だということは直ぐに分かったのか、対応は丁寧だったが、目的の物を聞き「んん~?」みたいな顔になっている辺り、あまり馴染みがないのだろう…。


「出来れば鶏の卵、あ、新鮮なやつね。で、オリーブオイル。………それから酢、は分からないか…え~っとお酒が酸っぱくなったやつ?が欲しいんだけど…」


ちょっと?その…何言ってんだ?このお子様は…みたいな目で見ないでくれるっ!


「あぁ~…すまんがケイビルはいるか?」


「あ、はい、商会長ならおります。確認してきますので少々お待ちください」


突然、義祖父さんが会話をインターセプト。店員さんはペコリとお辞儀をして店舗の奥へ行ってしまった。

何するん?と義祖父さんに視線を向けると…


「儂が直接商会長に話をした方が早そうだったからな」


…らしい。

…って義祖父さんに今日の目的は教えて無いんですけど?


「ん?………………そうだったな」


ガッハッハッ…じゃないよ?何を商会長と話すつもりだったんですかね?


「まあ、良いじゃないか。ユーリウスが同席すれば問題あるまい?」


そりゃそうだけど…。う~ん、釈然としないがまあ良いか…。

なんて会話をしていると店員さんがパタパタと戻ってきた。


「お会いになるそうです。ご案内します」


店員さんに着いて行くこと店舗二階の奥、少し豪華な装飾の施された扉が商会長の部屋なのだろう。

店員さんがノックしたあと返事を待ってから入室。室内へ通されたら店員さんはさっさと戻って行った。


そして…


「ようマリウス、久しぶりだな。いつヴァーチェに来たんだ?あとシーバスも久しぶりだったか?」


中には義祖父さんと同年代くらいのオッサンがデカイ椅子に鎮座していた…。


「相変わらずアコギな商売してんのか?ケイビル。もう良い歳なんだから、そろそろ引退しとけ」


商会長の軽口に軽口で返す義祖父さん。引退しとけ…って、いやいや物買いに来たんよ、俺は…。


「しかしマリウスとシーバス…アンタらが直接来るなんてな。何だ?儲け話か?それとも…」


それとも…って何だよ?怖えよ…。


「ああ、いや。儲け話かは儂にもまだ分からん。直接聞いてくれるか?」


義祖父さんはそう言い、シーバスに抱き抱えられている俺の襟首を掴み、商会長に向け前に突き出す。俺は義祖父さんの手にぶらーん…とぶら下げられているような状態だ。………おい、扱いっ!


やはり俺の…いや、俺がオッサンたちに囲まれているのは間違っている。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ちゃんと続きます。

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