第51話 やはり俺の…間違っている!続

エクシア王国の人口第二位の都市ヴァーチェ…何やら目標を破砕されそうな感じだが、ソレスタルなんちゃらとは一切関係無い…気がする。


そんなこの国では大都市に位置する商業区はやはりというか人が多い。

俺たちはその人混みを縫うように城壁へと馬車をゆっくりと走らせていた。


何故、城壁に?

理由は簡単だ。馬車を停める場所が城壁、城門周辺にしか無いからだ。

宿屋なら馬車を停めるスペースが在るらしいが宿泊もしないのに停めるなんて、そんなマナーの悪い日本人ドライバーのようなことはしない。


城門前のスペースは埋まってしまっていたので少しずれたスペースに馬車を停め降車。

さて…二度目の転生後、初の散策にオラ、ワクワクすっぞ!と心を踊らせているとシーバスにガバッと抱き抱えられる。


「人が多く、はぐれると困りますから」


至極真っ当な意見だが、踊らせていた俺の心は急停止である。何が悲しくて厳つい顔の筋骨隆々の初老のオッサンに抱き抱えられなければいけないのか…。

普通の三歳児なら「わあ、高~い!」とか喜ぶのかも知れんが、当然、全く、これっぽっちも俺はそんなことないワケで…。


まあ、良い…今はそんなことよりマヨを作る材料の方が重要であり、任務であり、もはや使命まである。このままシーバスには文字通り俺の足になってもらうとしよう。


「じゃあシーバス」


「はっ」


「ゼハールト家で食材を仕入れている店は知ってる?」


「はっ、存じております」


「よし、なら先ずは其処に向かおう」


「かしこまりました」


「あっ、他の店が何があるか店頭だけでも見たいから、気持ちゆっくり目で進んでくれる?」


「かしこまりました」


よし、これで目的の商会までだけだが店頭の品物に目を向けられる。商会に物が無ければ探さなくちゃいけないからな…。


俺は店頭の品物を見て、どんな店かを確認しながら『マップ』に脳内で情報を追加していく。情報と言っても店頭の品物しか見ていないので大まかにではあるが。

目的の商会は今通っている大通りの中程にあり、馬車の停車スペースから通りの半分ほどの店舗情報を『マップ』に書き込んでいく。


そして目的の商会へ到着。


『グラム商会』

商会長はケイビル=グラムという名でゼハールト家の先代…つまり義祖父さんの代からの付き合いだとか。

なるほど、だからか知らんがそれで着いてきた義祖父さんが静かなのか?

馬車に乗り込んで目的地を聞いてから急に静かになったからな。………何かあるのかもしれない。


まあ、静かになった…というよりは嫌そうな顔をしているからな…一筋縄では行かないかもしれない。


それはそれとして、やはり俺のお供が初老の執事と若干、戦闘狂の義祖父なのは間違っている。

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